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ザ・ビューティフル展

ザ・ビューティフル〜英国の唯美主義1860-1900〜が三菱一号館美術館で開催中です。
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5月6日までですから急いでください ε=ε=ε=┌( ̄^ ̄)┘

私はこの3月、有難いことに仕事が立て続き、身も心も喉もボロボロでした。そんな時に『そうだ、ザ・ビューティフルを観に行こう。』とJRのCMさながらに、稽古終わりに突然思い立って出かけたのでありました。仕事仲間には、よくこんなに大変な時に観に行ったね、と呆れられましたが、こんな時ほど、唯々美しいもので目と心を癒したいと思ったのでした。

それにしても、あの日は形容し難い強風でした。人と言うよりは疲れ切ったカッサカサの汚いスポンジのような私は、向かってくる強風に心が折れそうになりましたが、辿り着いた建物を見て心を奪われました。
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イギリスのジョサイア・コンドル設計の「クィーン・アン様式」の建物です。

建築オタクのくせに灯台下暗しです。建物の中の写真も撮りまくりたかったのですが、撮影禁止のパネルが。グスン。

古い慣習や決まり事から離れて、新しい美を求めたイギリスの若い芸術家たち。ロセッティやホイッスラー、レイトンらが中心となり、視覚的な悦びを重んじた唯美主義が起こります。

私はもともとロセッティが好きで、ロセッティと、これまた大好きなビアズリーをお目当てにしておりましたが、このエクスポジションを観に行ったお友達が「レイトン凄いから!」と教えてくれました。どれどれ、どこにレイトンさんの作品が?と探すまでもなく、凄まじいオーラの作品が!!

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レイトンの『母と子(さくらんぼ)』、『パヴォニア』、これらはとにかく必見です。質感がとにかく凄い。生々しいというか温度があるというか。掌にしっとりとした感覚が湧き上がってきます。

そしてロセッティもうっとりしながら執拗に眺め、ビアズリーもニヤニヤしながらジロジロ見ました(笑)。ほとんど変態だね。

ビアズリー&ワイルドのサロメは、私が初めてウィーンに行った22歳の頃、本屋さんで見つけました。自分のお土産に即購入。これは自分にとって宝物です。
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ちなみに、私の誕生日はワイルドと一緒です。やっぱりね。この嬉しい秘密を知った時、「ドリアン・グレイ〜!」と狂喜の叫び声をあげました。

どうでもいい話になってきたのでこの辺で。このゴールデンウィークで終わってしまう美の宮殿へ、皆様是非お出かけくださいませ!
# by komaiyuriko | 2014-05-03 23:18

20世紀のフランス音楽

さてさて(嬉々)、今年もまた、シビれるコンサートに参加させて頂きました!
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私のご尊敬申し上げる、フランス音楽&美術の生き字引でピアニストの鶴園紫磯子先生と、そのお仲間の先生方とのコンサート。ヴァイオリンの七島晶子先生、ピアニストのジャック・ゴーティエ氏、そして今年のゲストソリストは、クラリネット界のプリンス、フローラン・エオ氏です。

このコンサートは、20世紀のフランス音楽シリーズで、今回のタイトルは『1910年代、大戦期を生きた音楽家たち〜ストラヴィンスキー、プーランク、オーリック』。タイトルを見ただけで心も身体も震えます!

私はストラヴィンスキーの『3つの日本の叙情詩』、『兵士の物語』室内楽版の語り、そしてプーランクの『レオカディア』室内楽版で「愛の小径」を演奏させて頂きました。

フランスにいる時から、ストラヴィンスキーの日本の叙情詩を勉強したいと思っていました。でもなかなか手が出なかったのですよ。だってロシア語なんだもーん。フランス語で歌うこともしばしばのこの曲ですが、今回はストラヴィンスキーが頭の中で思い描いて曲をつけた、オリジナルの原語でやろう!ということになり、ロシア語版に決定。ロシア語のエキスパートの方3名に(分からない言語過ぎてソースは多い方が良いと考えました!)読みや意味を教えて頂き、ロシア人の方に詩を朗読して頂いた録音を聞きまくり、ようやく、歌えるかも♥️という淡い期待が楽譜から漂ってきたのが3月頃。遅っ。

鶴園先生は、フランス語で演奏した時の響きと全く違うとおっしゃっていました。聞こえてくる言葉によって印象は変わるものです。ストラヴィンスキーの頭の中に響いていた言葉と音楽は、訳詞ものとはやはり違うものでした。新しい発見。そしてもう一つの新発見。ストラヴィンスキーの無伴奏クラリネットの小品が、この曲ととてもリンクしているということ。今回はエオ氏が一曲ずつ交互に演奏しよう、と提案をしてくださり、そのように演奏。その効果たるや、絶大でした。
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そして『兵士の物語』。普通、室内楽版の場合は語りをつけません。ですから台本がないのです。今回、オケ版の楽譜にある登場人物四人版台本から、室内楽用一人語り版を作成しました。これは大プロジェクトだぞ〜と武者震いしていた私は、お正月から準備を開始。夏休みの宿題を8月31日の夜に泣きながらやった子とは思えません!
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楽譜の表紙もオリジナルで作ってしまう気合いの入れよう。

いらして頂いたお客様からは、語りが良かった、語りが良かったと言われ、なんだか自由研究で賞をとったような、そんな嬉し恥ずかしな気持ちでした(笑)。

レオカディアは、不勉強ながら今回初めて聴きました。楽譜は出版されていないとのこと。これも先生方が譜面作りから大変ご苦労されたと思います。でもちょっとしたセリフがあり、とっても楽しめました。劇音楽に相応しく、聴きやすく感情を煽るような素敵なメロディがたくさんありました。そして愛の小径を楽器伴奏で歌う幸せ。存分に楽しみました。
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前日の練習では、エオさんを中心に、大先生方がふざけあい、笑いの絶えない稽古場でした。やっぱりこの方たちも楽しくて楽しくて音楽をしているんだなーと感じました。嬉しくて、涙が出そうでした。

音楽をするということの真髄を、また改めて感じた、有難い本番となりました。音楽をしたいからやってるの、音楽をせずにはいられないから勉強するの、といった情熱の原動力を、懐かしさと共に思い出しました。
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ドイツ音楽の専門家で大学院時代からずーっとお世話になっている野村陽子先生と。先生に聞いて頂けて嬉しかった(T ^ T)

偉大でユーモアのある、素晴らしい共演者である音楽家の方に心から感謝いたします。ありがとうございました!
# by komaiyuriko | 2014-05-01 14:36

密かな愉しみ

古めかしいものに心惹かれる体質です。木の電柱だったり、点いたり消えたりするランプなど。

街を歩いていても、たまに見かけるそのような風景にハッとなり足を止め、カメラ小僧に豹変します。

東京オリンピックに向けて、このような風景が失われるのではないかと恐れる今日この頃。ということで、東京昭和記念館。
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私はパリ留学前、渋谷のカフェバーでバイトをしていました。ランチ営業と夜の営業の間、決まって渋谷百軒店の坂の上にある、名曲喫茶ライオンで本を読んだり、手紙を書いたりしていました。突然それを思い出し、最近足繁く通っています。
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初めて足を踏み入れた時のドキドキとワクワクといったら!不思議なことに、その高揚感は今も変わらず。静かな興奮を毎回体験しています。だってそこはまるで異空間。
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そのライオン熱に感化されたのか、喫茶の名店、邪宗門にもまた行っちゃった。
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ここで、ストラヴィンスキー『兵士の物語』の一人セリフ版を改定。この雰囲気、めっちゃ集中できます(笑)。

そういうわけで、“古きを温ねて新しきを知る”の醍醐味コンサート、『青春のダンス&スクリーン』も無事に終了致しました。チケットは一週間前から完売。当日も座席一つ残らない満席でございました。
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このコンサートシリーズがなければ、映画『道』、『ひまわり』、『シャレード』、『慕情』など、気にはなっていたけど見なかったかなぁと思います。往年の名画や名曲を知るきっかけを頂き有難い限りです。

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虹の彼方に
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ハモンドでアルゼンチンタンゴ

残るものには理由があるのですね。だから私はクラシック音楽に今でも夢中なんだなと思います。きっと飽くことはないでしょうね。

素晴らしい共演者の皆様と。
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素晴らしいお客様と打ち上げ(笑)。
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ご来場下さいました皆様に感謝申し上げます。
# by komaiyuriko | 2014-04-23 17:40

小学校講演コンサート

私が中学校3年生の時、担任をされていた坂田真澄先生。男子体育の先生でしたが、言葉遣いのとても優しい、笑顔の印象的な先生です。今は、埼玉県の小学校で校長先生をしています。

そんな坂田先生から、自分の小学校に講演に来て欲しいとのご連絡が。

講演…。空地の原っぱでいなごを追いかけ、池ではヒモにつるしたさきイカでザリガニを捕まえていた私が講演…。

これは埼玉県の事業で、小学生の進路指導の一環なのでした。アーティストがどのようにその職業につき、夢を掴んだか的な講演をする内容だそうな。まだまだ発展途上の私ですが、恩師のお誘いですから、喜んでお引き受けすることにしました。

まず、子供たちが待っている体育館へ向かいます。拍手で迎えられ前の席へ。校長先生の“さかぽん(坂田先生の愛称)”が今日の講演の趣旨を子供たちに伝えます。
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そんな中、落ち着きのない5年生の男の子がいます。微笑ましいですね。先生も「これ、Y君、落ち着いて。」と一言添えます。さらに説明を続けます。すると「Y君、ちょっと静かに。先生お話してますよ。」とご注意。Y君みたいな子っていましたよね、うふふ。

さかぽんが続けます。「駒井さんは、先生の中学3年生の時の生徒でした。どんな生徒だったかというと…、そうだなぁ、あぁ、Y君みたいな子だったな!」(会場爆笑)

あのー、Y君、まだ5年生、しかも男子なんですけどー。

会場がリラックスしたところで、講演の始まりです。さかぽんの見事なトークのおかげで、子供たちの集中力が違いました。Y君のようだった人が歌を歌ったり話をしたら、そりゃー、興味津々ですよね(笑)。

そういうわけで、コンサートをしながら、子供時代から今までの進路と、そこで経験した困難や挫折、音楽の素晴らしさと喜びを、ピアニストの牧菜さんと対話形式でベーラベラお喋りをしました。
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夢を持ち続ければ叶う、ということが事業のテーマだったようですが、私は芸術分野において、そんなことってなかなか難しいなと感じていました。ですから私は自分の経験から感じた本当のこと; 頑張ったってうまくいかないことはたくさんある、でも努力をやめたらそこで夢への道はおしまい、努力を続けていれば、それを見ている人が必ずいる、そしてその努力は報われるよ、ということをお話しました。

数日後、新聞に取り上げられました。記者さんって、うまく書くなーと感心。
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私もおしゃべりコンサートは多いですが、子供の頃からの話をしたり、困難や挫折を話したことはありませんでした。自分を振り返る良い機会となりました。

こんなに落ち着きのない、騒がしい私を招いて下さった坂田先生、ありがとうございました!先生というのは、どんなに時間が経っても自分にとっては先生です。自分があの頃に戻ったような感覚で、とても感激でした。
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そして今まで色んなことがあったなぁ、と思った時に、いつも傍でがんばれ、がんばれと応援してくれた両親に心からの感謝を伝えます。ありがとうね。もっとぎゃんばります。
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私がパリにいる頃に会いに来てくれた時の写真。両親が帰国する、お名残惜しいシャルルドゴール空港での一枚(笑)。
# by komaiyuriko | 2014-03-20 18:08

作曲家の新作発表を演奏するというのは、私にとってとても誉れなことです。演奏によって作品の良し悪しが評価されかねませんから。だからこそ、こちらも真剣に取り組まねばなりません。

今回は、金丸めぐみさんと市川景之さんの新作発表にたち合わせて頂きました。
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金丸めぐみさんの作品は、私の一番大好きな詩人、ヴェルレーヌの詩による歌曲3曲です。しーかーも、作品にされた詩は、「秋の歌」、「白い月」、「空はあんなにも蒼く静か」の三篇です。ドラマティックでロマンティックで、素晴らしい作品でした。感情を吐露するところもあり、構成がうまいこと感情を運んで行く曲でした。こういう曲に出会え、歌わせていただけるというのは声楽家冥利に尽きます。

金丸めぐみさんと
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そして、私の大変尊敬する生き字引、市川景之さんの作品です。市川さんがフランス詩に作曲しないなんて、返って不思議な感じですが、これまた素敵な詩人の詩を選んで作曲されていました。私は不勉強ながら、今まで読んだことのない大手拓次の詩でした。これを機に読んでみようと思い、詩集をゲット。今まで知らなかったなんて勿体無いことをしました。でもこうしてこの詩集に出会えたことがまた幸運でした。ものすごく繊細で、控えめな、というよりむしろ怖々とした愛情、そういった心の機微を歌う詩人でした。

「つぼみからつぼみへ歩む人」、「四月の顔」の二曲は、まるでフランス歌曲のよう。特に私は「つぼみから〜」を熱愛し、歌いました。

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市川さんと。
コンサートでは、このお二人の他に四人の作曲家が新作を発表されました。編成も違えば曲調も全く違い、本当に興味深い、素晴らしいコンサートでした!

私の手元には、作曲家の直筆の譜面が残ります。これはまさにお宝です♥️さらに、作曲家が自ら伴奏して下さった録音が届くそうです。幸せですな。

さてまた別の日には、介護付きマンションのオープニングコンサートが開かれました。
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楽器の仲間と一緒に、往年の映画音楽や唱歌を中心に演奏しました。

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タマゴシェーカーでシャカシャカしているところ。これは本番中(笑)。
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基本的に、鍵盤ハーモニカを吹きます(笑)。

このメンバーでの活動が本当に楽しい。稽古もワクワク、移動もギャハハハ、本番もニコニコ。お客様もつられてニコニコ(笑)。パリ時代の学部長先生が言っていました。『アンサンブルするには、寝食共にしなければならない』って(笑)。大袈裟だけど、一理あります。仲良くなってこそ、アンサンブルが出来るのです。

コンサート後、この施設を担当の方に案内して頂きました。私がお金持ちだったら、両親を老後、こんな素敵なところに住まわせてあげたいなと思いました。やっぱりプロの仕事です。思いやりが行き届いています。

よーし!宝くじ買おっと。
# by komaiyuriko | 2014-02-25 01:40