ソプラノの村松織部さんのリサイタル第二部に、オペラで押しかけ出演して来ました。
彼女はイタリア音楽、特にバロックや古楽を得意とされるソプラノさんで、私はスクール公演のオペラでご一緒させて頂いております。加えて、ルネサンスと現代をレパートリーとするヴォーカルアカペラアンサンブル“パルナッソス”でもご一緒。このパルナッソスの活動も今後の楽しみの一つ。
リサイタルは兵庫県宝塚で行われます。そういうわけで、オペラ前日に張り切って宝塚入りじゃー!
織部さんから、ホールのある清荒神駅に鎮座ましましたる清荒神清澄寺についての観光案内を頂きまして、仏像マニアの私が行かないわけにはいかないだろうと、夕方16:30過ぎに宝塚に着き、いっそいで清荒神駅へ。
レトロな雰囲気爆発です。
ここに入って行きたいけれど、軽く日没が心配なので急ぎましょう。
それがー、山道を歩けども歩けどもお寺につきません。
ここは参道らしくお店が開いていれば賑やかなはず。
寒いと思い、厚着してきたのに、登山のような坂道を一心不乱に進みますので、もう汗びっしょり。もはや荒い息遣いとお寺を目指すことだけに集中した無心の修行僧。
ようやく辿り着いた山門から見える景色は、この修行の山道を一瞬にして忘れさせてくれる清浄さとでもいいましょうか、サンクチュアリ独特の張り詰めた雰囲気がございました。
重要文化財の木造 大日如来を拝み、一願地蔵尊もじっくり鑑賞したいところでしたが、日没です。もう相当暗いです。登ってきた山道を思うと、気が気ではありません。後ろ髪引かれる思いで出発です。
こんな道でした。正気では恐ろしくて通れません。すると名案が!
「♪ヴァルデリー ヴァルデラー!」と、大声で「ゆかいに歩けば」を歌いながら、勇気を奮い立たせて歩きました。歌って素晴らしい。ふー、危なく遭難するところだった。
クタクタになって宝塚まで戻りー実際は途中で挫折し、タクシーでホテルへ向かったーそのタクシーの運転手さんに教えてもらったオススメのお好み焼き屋さんへGO。
ここはタカラジェンヌが良く来るようで、ポスターや写真、サインが至る所に貼ってあります。翌日は男役ですから、ポスターをしっかりと見てメイクのお勉強。
そして同じくしっかりとお好み焼きを頂き、本日閉店。
話が大幅に逸れましたが(汗)、リサイタル当日。
会場は、駅の目の前にある宝塚ベガホール。その駅前さ加減は、もはや駅舎並み。
この入口脇にあるカフェのカレー、絶品です。
どんなにお腹いっぱいでも食べて欲しい美味しさ。
そして、こちらのホールの方は、大変親切です。
私たちの大道具をうっかり作ってくださっています。しかも改良してくださってる。おまけに本番中、設置までして下さった。バラシもやってのけちゃった。親切すぎーー!惚れてまうやろー!関西で本番をお考えの方はおススメです。こんなホール、初めてです。
一部のリハーサル中。
リュートにガンバ、そして織部さんのソプラノは、私たちを雅びな世界へ誘ってくれます。この宮廷感覚好き。多分、前世の記憶(笑)。ボードレールかっ!
La vie intérieure / Baudelaire参照
このガンバとリュートを弾いておられる方々がまた面白インテリで素敵でした。関西の方でしたので、コンサートトークも当然関西弁。とても新鮮でした。
本番はあっという間。
楽しい時間とはどうしてこんなにも一瞬なんでしょう。織部さん演じるバスティエンヌは可憐で純粋でちょっぴりコミカルな可愛い女の子。はまり役です。そして私は浮気者のチャラ男。ノーコメント。でも最後は本当の愛を知り、ハッピーエンドです。
開演30秒前。
ここが宝塚だからでしょうか?
男性歌手が登場したときには起こらなかった拍手が、私が登場した時にはありました。まだ歌ってもないのにですよ(驚)。宝塚のお客様は、女性が演じる男役が登場の際には、ついオートマティックに拍手してしまうのでしょうか?!何しろいい気分でした(笑)。
終演後、出演者と。さすが関西人。普通には撮らないのね。
一部の素敵なドレスの織部さんとバスバスチーム。
大阪と京都から大学の同期、千景ちゃんとみおちゃんが聴きに来てくれました。みおちゃんなんて、先週の徳島に続き、宝塚にも来てくれました(涙)。
大阪在住でパリ時代の友人、ジュンちゃんと。
打ち上げは串揚げ屋さん。ザ・関西!大いに盛り上がりました。一晩中、飲み明かしたい気分。こんなに串揚げ食べたことないですわ。二度づけ、禁止やで〜。
素晴らしい歌手のリサイタルをおそばで聴かせていただき、その集中力や本番力に圧倒されました。丁寧な歌い方や節度ある表現には気品と色気を感じ、魅了されると共に尊敬の念がじわじわと湧いてきます。
私も常に音楽に対して真摯に向き合っていきたいと心を新たにしました。織部さん、素晴らしいリサイタルをありがとうございました。