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知り合いのコンサートに伺った。真っ白なステージで教会のような雰囲気。それなのに私ったら飛蚊症が激しめで、黒い点々や線が邪魔でよく見えない。ふむ、これはさすがに変だなと感じた(呑気)。


よーくなにが見えているか観察してみると、黒い点々の濃淡がガラスに飛び散っている、そのガラスが3枚ぐらい別々の距離を持って目の前に立ちはだかっているような感じだった。それに加えて黒い線や黒いもう少し大きな塊のようなのも見えて、そう言えば最近「わー、びっくりした〜!ゴキがいるかと思った!」と騒ぐこと度々。


これはまさしく飛蚊症に違いない(遅っ)、と、ネットで少し調べてみた。放っておいていいのと放っておいてはいけない2種類があって、いけない方は網膜剥離などの病気と書いてあった。ボクサーじゃあるまいし、それはないな、と思ったけれど、念のためちょうど隣に眼科があったことを思い出し、軽い気持ちで行ってみた。


瞳孔を開く検査をするので、また別日に来てくださいとのこと。そこで次回予約を一週間後にした。


やっと診察。ニコニコして楽しい感じの看護師さん達。検査をすると突然、先生や看護師さんたちがバタバタし始める。検査の結果、網膜剥離と言われ、緊急を要するとの事。通りで先生が私の目を見ながら「え?ほんと?待って、良く見る。もう一度。」と少々テンパっていたものね。今からすぐにも手術しなければならないので大学病院へ行ってほしいと言われる。 


なぬ?私、網膜剥離?!

12年前、椎間板ヘルニア(と腰椎の固定手術が必要だった)と言われた時の病名のダサさに比べて、ボクサー風でカッコいい。


「ちょっと来ただけなのに大変なことになっちゃって、動揺していませんか?大丈夫ですか?紹介状書きましたからね。明日まで、ジャンプしたり激しい動きはやめてくださいね。網膜が剥がれちゃうから♡」と優しく諭される。それを聞いてうすら笑いの私。昨日、小学校公演で『あまんじゃくとうりこひめ』のあまんじゃく役で激しく走り、飛び跳ねたりしたな〜(笑)。さ、仕事のやりくりをしなければ。明日から病院バカンスに入るようだから。とにかく翌日8時に昭和大学に行くことになった。


今日は8時に昭和大学へ。視力検査等をして診察を待つ。さすが大学病院。待ち時間が恐ろしく長いため、友達のLINEスタンプを作って遊ぶ。こうして目を使うのは良くないと思いつつ… 。しかも瞳孔を開いている最中(笑)。


眼底フォトグラファーという先生がいて、目の奥の写真を撮る。撮られるのもなかなか難しい。なにしろひどく眩しいのに目を開けて指示されたところを見続けなければならない。涙も出るし鼻水も出る。写真をものすごくたくさん撮る。それを丸く配置し、眼科の先生が目の奥を立体的に見られるようにするらしい。このフォトグラファー(先生)は自分の職業に誇りがあるように感じられる。とても良い。この検査の結果、裂孔性原性網膜剥離と決定。


担当の先生が決まった。同い年くらいの浅野先生。話を聞くと、その状況は劇的に悪いらしく、明日入院で明後日手術となった。


手術の方法は2つ。シリコンバンドで留める方法と硝子体手術と言うものがあるらしい。どうしますか?と聞かれるが、私にわかるはずもない。結局、オススメされた硝子体を全て取り除く硝子体手術になった。入院は2.3週間ほどとのこと。え、思ったより長くないですか?!別に何も思っていたわけではないが…(笑)。


入院に先んじて、PCR検査。今時である。PCR検査は3度目。今回初めて鼻に綿棒を入れるタイプ。痛いので我慢してくださいねと看護師さんがおっしゃるが、耳鼻科慣れしている私には、もっと奥まで入れないと気持ちいいところに届かない!と思ってしまう。上咽頭炎のお薬をグリングリン塗って欲しい魂がここでも発揮されてしまう。


その後、心電図と血液検査。

さっと終了。みなさん、元気でにこやかな先生方ばかり。とてもいい気持ち。


それにしてもいろいろな検査がある。目の奥行きを測ったり、後は何を測ってるんだろうか(笑)?!眼球にタッチする検査も。男性はうまくできない人も多いとか。私、そういうの得意。どーぞみたいな感じで難なくクリア。


入院初日

コロナのせいでお見舞いや付き添いができないとのこと。もう最高にガーン!である。洗濯物も看護師さんに手渡し、看護師さんが身内の人に手渡しするというシステムらしい。3週間、誰とも会えないし、目も使えないのでラインやメールもできないと思うと絶望感がうっすら襲ってきた。


病院があまりにも静か。お見舞いの人がいないので、誰も話していない。食事の咀嚼音がうるさいほど。急に目が見えなくなったらどんな感じだろうと思い、どよ〜んとした気分に。


2日目・手術日

コロナ対策で面会もお届け物も禁止中だが、おりさんが荷物を持ってこっそり外来に来てくれる。堂々としたおりさんに対して、私はいけないことをしているのでは、という気持ちからドキドキ&気もそぞろ。意外と気が小さいことが判明(笑)。


11時から手術前の目薬を入れ始める。入れ間違えないように、左目に透明の眼帯。間違えるかー!えげつないほど分刻みで点眼する。たくさんの目薬を順番に入れていくので看護師さんが表を作ってくださる。マスがたくさんあり、入れた目薬の瓶を時間の書かれたマスに動かしていく。まるでチェスのような雰囲気。


13:30手術室に出発。元気にも関わらずわざわざ車椅子で(笑)。VIPか。

手術室前では新たな看護師さんたちがまだ愉快にいろいろやってくださる。「2歳しか歳が変わらないのに肌が綺麗ね!秘訣は何?!」などと楽しくしてくれる。なぜなら私が血圧178を叩き出したから。優しくてユーモアのある素敵な看護師さんたちが、ビビり倒している私にうっすら麻酔を入れてくれる。


執刀医の先生は「インプラントより大変じゃないよ(笑)!」と言ってくださる。優しい。手術室にはかっこいい洋楽が流れていた。先生の趣味かな。一昨日初めてお会いした時は静かな先生だなと思ったけど、愉快な先生のようだ。手を動かしながら軽妙なトークも繰り広げられていた。


局所麻酔とうっすら全身麻酔のため、寝ているんだか起きているんだか、の感覚。とても良い気持ち。先生に話しかけられれば答えられるけど、確かに夢も見ていたような。


検査ではわからなかったが、さらに穴が三つもあったらしく、「全部埋めといたよ!」とのこと。もうベロンベロンだったんじゃん。左も空いてんとちゃうか?!


さて、これからが大変。俯いていないといけない。やってみると首&腰が痛い!瞬間的に痛い(笑)。これが3日は続くらしい。夜は横向きで寝て良いとのことだけど…。


夜になり、目の中に軟膏を入れて銀色の固い眼帯をする。目の中に軟膏!!と思ったが意外と気持ち良い。しかも森林の香り(笑)。今日は22時の消灯に本当に寝る。おやすみなさいませー。


3日目

6時起床。

本日からも目薬ラッシュ。昨日ほどではないが(笑)。またチェスをして忘れないようにする。っていうか、これしかやることないんだからね。


朝ごはんは機内食のような雰囲気。それにしても、気は心と言わんばかりのお皿の絵付けよ。いいじゃない!


8:30までに二人の先生による2回の診察あり。若い先生と執刀医、浅野先生。若い先生は「水の中にいるような感じでしょ?」と。まさにそんな感じ!浅野先生はしっかりくっついてますよって。一安心。リングがくっきり見えているというのを忘れた。


視力検査。一昨日初めて来た外来の検査場へ。何も見えなかった。「光は見えますかー?」とかそんな感じ。ついでにローソン。唯一の楽しみ。


椅子を借りてくる。部屋に入れて、机を一番高くしてタオルを引き、俯いてその机に寄りかかるという作戦を思いついた。かなり楽。痛みの度合いを1から10でよく聞かれる。今までの俯きが20だとすると、この発明で12。がんばる。痛みって首&腰ね。目でなく(笑)。


小説の朗読をたくさんダウンロードしてきた。聞きまくる。久しぶりの阿刀田高。梶井基次郎は美的感覚が優れてるな〜。芥川はやっぱり面白いな。今から向田邦子聞いちゃう。暇か!暇だ。


手を広げて上を向いて胸を広げるのが自律神経にはいいらしいが、私はその全て反対をしなければならない。下を向いて、人に話しかけないで、と言っているみたいな姿勢。廊下ですれ違う人たち、私のこと恐ろしく暗い人だなと思ってるかな。ここ眼科病棟だからみんなも同じか。


手術の時から左手に刺さっている点滴、早く取れないかなぁ。邪魔だな。


パジャマから服に着替えてみた。途端に病人感が激減。私は病気でなく怪我だと思っているので、これで少し気分が良くなってきた。アゲ〜。


ずっと俯いている。気分変えてみんなの広場みたいなところで俯いてみた(笑)。うっかり居眠り。ローソン行って元気つけよう!心の拠り所、ローソン。


手術した目は全然見えないが、黒いリングがはっきり見える。それが心臓の鼓動と共にプルプル揺れていることに気づく。ちょっと頭を揺すったらプルンと揺れた。こわっ。もうやめよう。飛蚊も見えた、一、二匹。でも無数にあったんだから気にするのやめよ。


味道楽(ふりかけ)が美味しすぎる。味道楽にご飯粒が混ざってるのかな?くらいの感じで食べている。なぜって健康にいい、味なしご飯だからね!


夜、美味しいマスカットティーを飲む。


4日目

6時前に起床。なんて健康的。

体重を測った。変わっていない。がっかり。動いていないから当たり前か。


7:25 若先生がくる。10分後に診察とのこと。よく働く。その後、浅野先生の診察。順調らしい。よし。全く見えなくて心配になるが、これでいいのか、と一安心。


同部屋の仲良くしてくれたおばちゃんが退院。なんか寂しい。いろいろな話をした。手を振って別れる。一言も話さなかった別のおばちゃんにも帰りがけに「お大事に」と言った。なんか寂しい(2度目)。みなさん、白内障の手術なのですぐに退院して行かれる。


おりさんがまた「法」を破って荷物を届けてくれた。ヨーグルトとかコーヒーとか入れてくれていた。私の可愛いフレデリックもきた(笑)。眼帯をしている!私が右目なので、彼は左目。二人で両目なのだそう。


部屋にはまた新しい人が来ていた。広場で体操している間に。すごいもんだ、大学病院というのは。ひっきりなし。たった今、もう一つのベッドにも。またこの部屋、コンプリート。白内障、人気です。


ちょうどお誕生日の日の食事メニューから選択できるらしい!ラッキーじゃ。朝はホットケーキ、夜はきのこハンバーグにした。うふふ。


新しい人たちは感じがいい。この間のおばちゃんくらい感じがいい。


シャンプーしてもらう。リンスインシャンプーだし、髪も短いし毛量もないので、一瞬。

看護師さんは美容師さんにもなるんだからすごい。


なんだか急に全体的に見えづらくなってきた。見えなかった右目が見えてきたためと思われる!ポジティブに考えることにする。


視力検査。よくなっているんじゃないかと期待。昨日より良くなっていたが、ちょうど焦点のところにフラッシュを見たような光が見えてうまく見えない。ものすごくストレスを感じる。もっと見えると思うんだけど、フラッシュの光のようなものが邪魔して、と言い訳。とっても嫌な気持ちになる。


小1位の、牛乳瓶メガネをかけた男の子が同じく隣で検査中。帰りがけお母さんに、「俺、上とか右とか、適当に言ってんだぜ。」と言った。思わず吹いた。母、絶句(笑)。


ご飯まで時間があるので階段でも登り降りするかと階段を探すが、すべて立入禁止。看護助手のような人に聞いてみると、階段で倒れていると困るので患者さんは使えないことになっているとの事。なるほど。1階と2階に階段があったことを思い出しその階段8往復ぐらいしただろうか。ご褒美にローソンでお茶でも買おう。


それにしてもご飯の回数が多い。1日3回だから当たり前だが、イベントがそれしかないので、もうご飯だ、という感じ。5人部屋で満タンなのにお箸を動かす音のみが鳴り響き、それ以外の音が全くしないと、なんだか刑務所に入っているような気持ち。入ったことないけど。


5日目。

診察以外の時間は俯いていなければならない(寝るときは右横下)。うつむき加減の日本女子である。椅子に座り、テーブルの角にタオルを敷いて、あたまを持たせかけたり、ベットの上にあぐらをかいて俯いている。目を瞑ると暗闇に黒いリング。その周りが少し光っている。まさに月蝕。動くとそれがゆらゆら。そのうちに悟りを開くかもしれない。


7:15若先生の診察。


今日のこっそり冒険。

眉毛を描いてみた。怒られたら消す(笑)。


今日のこっそりワクワク。

もしかしらたら今日、眼底フォトグラファーのところに行くかもしれない(笑)。


いつも朝から夜まで、できる限りカーテンを開いている。他の方はほぼ全員閉めている。カーテンは心の窓。


新しい人はおしゃべり好き。私が開けているからすぐにお話にくる。白内障とのこと。2週間前に反対の目を手術したよう。手術後、家に帰ってビックリしたらしい。埃だらけだったって!そして顔見てビックリ。シミだらけ(笑)、と。それだけ良く見えるとは医学とは素晴らしいものだ!


前のおばちゃんが透明の眼帯をつけ始める。今日手術のもよう。目薬入れ間違えちゃうから透明眼帯助かるとのこと。ま、うっかり両目に入れることもあるか(笑)。そしたら両目の瞳孔が開いちゃうもんね。


朝8:30と17時に長閑な童謡のようなメロディが2度繰り返し流れる。なんだろ(笑)。あんまり長閑なので、点眼表の裏に楽譜を書き取ってみた(暇)。2度なるので聴音の答え合わせまでできる。


院長回診!ではないが、眼科部長さんの診察。体が大きく良いバリトン。順調とのこと。うれしい。


看護師さんはしょっちゅう回ってきては、目薬を入れてくれたり、飲み薬の確認、薬のゴミの回収、シャワーや洗髪の連絡に来てくれる。その間、大体ポケットの電話がバイブでブーンブーンと鳴っている。ナースコールか他のナースからのヘルプか。頭が下がる。午後看護師の交代です、と毎日挨拶にいらっしゃる。その看護師さんがまだ黙々と働いている。この人たちの体内リズム、どうなっちゃうんだろう。心配。白衣の天使に感謝。


6日目

本日快晴。気持ちのいい秋晴れ也。


診察。女性の先生。話し声が既に喉の奥が空いていて良いアルト。ドライアイで眼球が傷だらけとのこと(笑)。胃薬のムコスタと同じ成分の目薬がドライアイに最強とのこと。それを入れる。目から牛乳のような様。


向かいの仲良しのおばちゃん、手術へ行きました。手を振って行ってきまーすって(笑)。ハイタッチみたいに。かわいい。次のおばちゃんも控えめに手を振って行かれました。


今日もシャワーと洗髪ができた。洗髪中、看護師さんに眼帯が欲しい旨相談。話しているうちに欲しいのは眼帯でなく、“メガネの片目にフタをする“ということに気づく。すると看護師さんが一緒に作ろうと言ってくれたが、やっぱりハサミを使うのは危ないからこっちで作るから待ってて、と。園児か!ナースステーションから笑い声が聞こえた。出来上がりを見て爆笑したらしい。結構笑える代物だけど、とてもいいし、皆さんで作ってくださったことが嬉しい(笑)。


今日も視力検査。焦点にある光の残像がひどい。また大いなるストレスと共に部屋へ帰り、不貞寝。ウトウトすると、もう夕食。


おかずに味がないのはソースをかける、ということだったのか!と今更気づく。なるほど。ソースなんて嫌いだからかけないけど。 


食後のお散歩。もう誰もいない病院内を歩き回る。気分は江戸川乱歩。


部屋に帰ると看護師さんが待っていてくれた。目薬だった。この看護師さんは話しやすい。皆、感じがいいが、話しやすい人とは何かと考える。自分もそうありたいと思うから。間があることかも。話すタイミングをくれること。


病室にずっといると、具合がとても悪いのかいつも不平不満を言う人、痛いながらも仕方ないからそのうち治るのを待つ、という考えの人、体調が良いのか楽観的な人がいる。前向きな人(魂の成熟した人)はいつか治る、そうでない人は一生治らないのでは、と思う。そのように理解できているものの、私は自分の調子が悪いと表向きは魂の気高い人の振る舞いを無理してし、家に帰って愚痴をこぼす内弁慶(てへぺろ)。意思の力で自分がいいなと思える人間に早くなりたい。ベムの今日の一言。


斜め前の長岡のおばあちゃまが今週末退院する。母をみるような気持ちで見ていた。今までも母が入院した際には、行ける時間を狙って行っていたけど、長期入院となったら、こんな風に寂しい思いをさせないで済むようにしてあげられるかな。ま、今はコロナで誰もお世話に来られないから仕方ないが…。だからこそのこの静けさ。


12年前の1ヶ月入院の際は賑やかだったもんな。毎日お祭りみたいだった(笑)。あの時来てくれた人たちのことは忘れない。これは恩ってものなんだな。


7日目

朝、目覚めた途端、眼帯の中で光の粒が二つはっきり見えて憂鬱になる。昨晩は、腰と足の痛みで眠りが浅かった。眼帯も取れていた。不愉快だったのね(笑)。ストレスがぐんぐん上がってきた。


回診で俯きが解除される!

手術が終わってすぐに俯き姿勢と言われ、やってみた時、首の骨がポキっと鳴って「わー、ポキってなったー!」と先生も笑ったくらいだった。1分も続けられないと言う位、首の筋肉が痛くてこりゃ困ったなと思ったけど、辛かったのはその1日で、2日目からはうつむきの姿勢に筋肉がなろうとするのを感じた。3日目からはむしろ得意になってきた感じも。これは良い姿勢にも適応できるんじゃないかと思った。良い姿勢を取ろうとすると筋肉が1分も無理と言う位痛いかもしれないが(実際にはそうだが)、2日すればかなり良くなり、3日すればそれがかなり定着するんじゃないかと思った。


今日のこの看護師さんは本当にいいなぁ。親切で明るくて人の話を聞こうとする。


とはいえ、強い光の残像は無くならない上に、今気づいてしまったが、線がゆがんでみえる。これは五線が読めないかも〜。いやーーーー。胃がキューーっとなった。


整形にも入院中診察というのでかかれることになった。これはラッキー。注射してけれ〜。


斜め向かいの長岡のおばあちゃんが明日退院する。母に声がそっくりのおばあちゃん。新潟から来ているので、明日新潟に帰るのだ。痛みは取れないが、このままもう変わらないので退院という運びのよう。体に電極が埋まっているらしく、その治療器の取り扱いについて何度も習っている。iPod touchでどうやら動かすらしい。こんなことはおばあちゃんにとって難しすぎる!余計なお世話だが私も心配。だってiPodなんてさわったこともないし、さらに痛くてそれどころじゃないのに!説明を聞き終わったおばあちゃんは最後に、「なんだか心許ないな〜」とつぶやいた。もう私、泣きたくて泣きたくて(涙)。でしゃばって一連の動作の流れをビデオに撮りましょうか?って言いに行こうと思った。が、明日埼玉からお嬢さん(48歳)が迎えに来るらしく、その使い方をもう一度おさらいするとのこと。私はじゃあ大丈夫か、と納得するしかない。


私の隣のベッドの神経質おばさんは、わがままで痛い痛いしか言わない。看護師さんにも先生にも。何をしてもらってもいいことひとつ言わない。リハビリの先生がお迎えに来ても調子悪いと言って休んでばかり。長岡のおばあちゃんは辛くても毎日朝晩リハビリしてる。どう考えても長岡のおばあちゃんの方が重い。点滴ずっとやってるし、ペインに毎日通っている。なのに隣の神経質は何もしてないのに文句ばかり。退院、明日でもいいんですよ、と昨日回診に来た先生たちに言われていた。でも帰るのも嫌なのか、火曜日に伸ばした。スタスタ歩いてるのにリハビリはやらない。こうはなりたくない。まず、挨拶できない時点で終わってる。長岡のおばあちゃんが心配すぎて人の文句言っちゃった。良くないね。


芥川龍之介は犬が大嫌いだったのにシロを書いたのはなぜだろう。調べたら犬嫌いが治った晩年だった。晩年といっても自殺だから若かったわけだけど。


芥川の『将来の漠然とした不安』はよく分かる。でもやっぱり中也の方がシンパシーを感じる。豪快なキャラクターと繊細な文学。本当は繊細だから豪快に振る舞っていたのだよ。太宰の道化のように彼は破天荒を演じていたんだよ。



8日目。

今日は誕生日。誕生日を入院生活で過ごすのは2回目。前回は35の時だから12年前。一周だね。あの時もずいぶん殊勝な気持ちになったけれども、今回もまた然り。


あの頃はパリ帰り半年で、精神的にめちゃくちゃ強かった。おまけに毎日友達が入れ替わり立ち替わり来てくれた。母なんて毎日通ってきてくれた。今回はコロナで誰とも会えずとても寂しい思いをしている。


昔、K君が大病をして生死を彷徨った頃、大切な人とそうでない人がはっきりわかった、と話した。またK君らしいな!なんて思ったものだ。あれから15年は経ったかな。今の私はもう47。自分がこんなに歳をとるなんて!と思うけど、昨晩、瀬戸内寂聴の講話を聴くと、ま、当たり前のことか、騒ぐな、とも思う。芹沢先生の口癖(美輪明宏の口癖が同じことにも気づいた!)でもある、幸せの概念についてもそうかな、と感じる。私は幸せ。これは訓練。


病室コント

ユリ「今日ご退院ですか?」

感じのいいおばちゃん「はいー、お世話になりました!」

ユリ「おめでとうございます。でもご一緒で楽しかったのに残念です!」


ユリ「今日ご退院ですか?」

感じの悪いおばちゃん「まだです。退院伸ばしました。」

ユリ「残念です。」


長岡のおばあちゃんご退院です。寂しい気持ち。おばあちゃん、痛いし、機械の使い方もままならないし、可哀想。痛みというのは辛くて可哀想ねぇ。最後に大きな声でお世話になりました、と仰った。私はご家族にもご挨拶し、お見送りした。


神経質以外、みんな退院していった。みなさんとても感じ良く最後のご挨拶は楽しかったり、じーんとしたり。


でも隣の神経質はどうして同部屋の方が退院される時顔も出さないんだろう。どうして??看護師さんとはちゃんと普通に喋るのに!リハビリは休むくせに買い物や歯磨き、トイレ、にはタッタと歩いてるじゃん!意地悪発言連発。


おりさんにそのことを電話する。私もストレスで嫌なやつに成り下がっている。「その行動も病気へのストレスからくるんじゃない?退院する人に明るく接することができないから挨拶しない方がいいと思って自粛してるんだよ。」だって。


もう本当にびっくり。考えたこともない美しい考え方。ポジティブとかネガティブじゃない、美しい考え方なのだ。私も気高く純度の高い魂を持ちたい(涙)。



雨風強い9日目

先週入院して来た時より、ずいぶん寒さが増したように思う。今日は日曜日なので一階のローソンも開いていない。診察は変わらずに1度あったが、後はもうやることがない。いつもより少し寂しい院内である。


今朝、心の窓のカーテンを開いていたら、1週間経って初めて隣の神経質がおはようございますと言った。頑張ったじゃない!!


診察があり、明日退院していいとのこと!目の前がパッと明るくなる!2.3週間からの10日はすごく優秀じゃない、私!!


退院後も、外来診察で先生の許可がない限りメイクをしてはいけないらしい。大学にメイクをしないでいけるのか?いや、行っていいのか?!

大きめのサングラスをかけてしばらく出勤すればいいかな。コロナの時期でマスク着用の事と言うのは吉と出た。


視力に歪みと焦点にフラッシュの後遺症が残ったので楽譜を見るのが大変になる。自分の音楽人生の季節と照らし合わせて、まぁいいところだったのかなとも思う。ただこの視力に慣れてくれば、また可能性も広がるかもしれない。希望的観測。


消灯になってからはいつも落語や漫才を聴いている。楽しい気持ちで寝たいので。でも夜中の病室で声が出ないように笑いを堪えていて、ふと顔に圧かかっていないか心配になった。9日目にして、聴くのを(今更)やめることにした。笑いは大切だ!ここでは危険を伴うけれど(笑)。


10日目快晴

毎朝、朝日を浴びている。浄められているかな?


朝の診察。良いアルトの女性の先生の診察も最後。お世話になった眼科の先生方はみんな気さくで良かった。色々お話を伺うこともできたし。


今日退院だと思うと朝からウキウキ。荷物の整理ももう終わった!現在7:25。


浅野先生の前に整形外科に呼ばれた!整形外科はいかにもな先生だった。眼科の誠実で気さくで素敵な先生たちとはちょっと違う感じ。チェだぜ。


浅野先生、最後の診察。1週間と2日前に初めてお会いした先生だった。心からの感謝を。おりさんが迎えにきてくれた。退院チェックにかなり時間がかかった。


病院から一歩外へ出た途端、おりさんが「シャバの空気はどうですか?」と聞いた(笑)。すっかり秋も深まり寒さが沁みた。目の前のサイゼリアでランチ。病院の窓から、「あそこはシャバだ!」と思って恨めしく見ていたサイゼリア(笑)。なんでもないことの幸せを感じる。幸い、私は日々幸せを感じ感謝している。


来週外来。それまではメイク禁止。仰向け禁止。大学には看護師さん特製メガネ眼帯でもして行こう。


ひとまずこれで網膜剥離には終了か。


退院後二度目の外来。もはや懐かしい。今までしたことのないような検査もあり、隈なく調べて下さるなぁと感動。


焦点のフラッシュは、手術による後遺症ではなく、夏にかかったウイルス性の高熱による炎症が網膜に飛んだことが判明。眼底フォトグラファー、名探偵!もうそういうことなら、治らなくても仕方ないと腹が決まる。


メガネは次回処方箋を発行してくださるそう。楽しみ。でも期待しないようにしよう。


一ヵ月以上経った外来。

再剥離の心配はひとまず低くなったよう。嬉しい。


今日は洒落た眼鏡をかけた新しい先生による矯正視力検査。この人がメガネ屋だなとニヤリ。ワクワク。


奥の部屋でメガネを選ぶ。病院のメガネ屋だからダッセーのしかなかったら嫌だなぁと心配していたが、素敵なのがポンポン出てくる。しかも私の特殊なレンズが入るフレームを限定して出してくるので10本くらい並んだ。もうそこで3本迷う(笑)。でもお話ししながらご一緒に考えてくださり、レンズに色が入ることを考慮してフレームを選んだ。とても嬉しい。これでQOLが鰻登りじゃー!


出来上がりは来月だった…。ですよね。街の格安メガネ屋のレンズじゃないんだから30分で出来るわけないよね。しゅん。



またまた外来

本日また新たな検査があった。時計仕掛けのオレンジか!というようなサイコな検査。面白い、恐ろしい検査があるものだ(笑)。


青空に木々が美しく映えている。細部まで見えなくても、こんなに清々しい秋晴れの風景が見えるのだからいいじゃないか。小さなことは気にしないで大らかに生きよう。


すぐにある『ドイツ・レクイエム』の練習はしっかりやろう。歌い出しの高音でまた網膜がペロ〜ンとなったりして。牧菜さんは同じことを考えて手に汗握ったとのこと。ありがたい。


ま、その時はその時(笑)。


〜・〜・〜・〜・〜・


あれから2年と8ヶ月が経った。外来を重ねたが目の見え方は変わらず、右目は雰囲気しか見えない。でも別にどうでもいい。今はコロナも終息し、私は好きな人たちに囲まれて楽しく生きているから。


今日で昭和大学の診察終了!「これ以上悪くはならないはず(笑)!」と先生が仰った。網膜剥離になる人は反対側の目も剥がれやすいので注意してね、とサラッとホラーなことを言う。長い間お世話になりました♡と心からの感謝をお伝えした。


目の前のサイゼリアが閉店し、解体されていた。外来の度にランチしたし、今日もここで大学に行くまでゆっくりしようと思っていた。足場を運ぶお兄さんたちをぼんやり見ながら、一時代が終わったような物思いにしばし耽る。長かった私のこの網膜剥離日記も、サイゼリアと同様これにて閉店、ということにする。



# by komaiyuriko | 2024-06-11 21:39

ギジット号発進!

学生時代、マウンテンバイクにはまりました。モスグリーンの初代オットーからアルミの軽量2代目オットー。ちなみに私は自転車が相棒なので名前をつけます。どーでもいいでしょ(笑)。その後パリでもGo sportsに通い、スニーカーを買いまくり、あ、マウンテンを購入。アロンゾ君と名付けられた彼とは楽しい自転車パリライフでした。

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ジャポンに戻り、坂の多い街に住み、つい電動スポーツバイクに手を出してしまいました。しかもネットで購入。自分で半分組み立て式でした。猛スピードで黒いイナヅマと呼ばれ、ご近所さんから嫌がられる毎日。車を抜けるほどのスピードが出る、多分良くない自転車でした。雨の日のある日、スピードの出し過ぎで転倒。腕の骨がバラバラに砕けたと思いました。救急に行くとただの打撲とのこと。おかーさん、強い骨の子に産んでくれてありがとう!!これがただの打撲なら、骨折ってどんなに痛いの?!と震え上がりました。


その後、周りのススメでスピードの出ない20インチの可愛い電動に変え、安全運転の日々を送っていました。が、やっぱり物足りず、本日新たにマウンテンを購入。今度は電動をやめ、自分の力を信じて進む道に戻りました。(ちなみに電動は名付けられません)


家の近くに素敵な自転車ばかりが置いてある自転車屋さんが開店。いつも通り掛かりながらかわいいなー、いいなー、と覗いていました。昨日、思い切って入ってみました。夢の世界。素敵カッコいい自転車のオンパレード。店内には自転車仲間のおじさまが2人遊びに来ていました。私がGT(マウンテン)を触りながら「これカッコいいなぁ」なんて呟いたものなら、ピラニアの如くおじさまたちが食いついてきました。GTお好きですか?これ、カッコいいですよねー。いかにもGTのこのシルバーとブルーのラインがいいですね。身長を考えるとサドルを少し斜めに取り付けるといいですね、サドルはこれにカスタマイズするといいですね、え?、ハンドル変えたい?どんなのが好みですか?あ、それならこれどうですか?ハンドル変えたらグリップ変えたい?じゃこれがオススメです、これはダメ、溶けるから、あ、ハンドルあげたいんだ、まずはいいかもね、でもそのうちさげたくなるよ、鍵はこれが可愛いし、ライトはこんなのどう?、タグが嫌ならこの反射板で隠せばいいんじゃない?ブルーと合ってカッコいいね、ドリンクホルダー付ける?


もう目まぐるしーっちゅーの!!


なんとこの店は如何様にもカスタマイズしてくれるらしく、自転車マニアの聖地のようになっていたのでした。どうりでいつでも人が屯していると思った。


でも話を聞いていくと私のカスタマイズ欲がムクムクと膨れ上がり、結局、ハンドルの形を変えるなど、色々なカスタマイズをし、私好みのGTになったのでした。でも今後、かごをつけるかバックをつけるか、ハンドルを上げるか、ハンドルの横を切るか、グリップを変えるかしそうな予感。おじさまたちはご満悦。俺が欲しいと呟く始末。


マウンテンには名付けが必要。GTだけに、ギジット号となったのでした🥰

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これでどんどんスリムに、どんどん健康になる私をみなさまどうぞお楽しみに!うふふ。


でもいつもこんなこと言ってる。ムッシュ・サンスシか!(フランス歌曲ギャグ)


# by komaiyuriko | 2022-12-04 13:55

そんなこんなで(どんなこんなかはわからないが)、胃カメラを飲むことになりました。

口の中からカメラを入れて胃の中を見るなんて、狂気の沙汰。拷問以外の何物でもありません。


学生時代、胃を悪くしたことがあり病院に通いましたが、先生に「次回胃カメラね」と言われた時、その街から姿を消したことがあります(池袋)。しかし大学が池袋だったもので、姿を消したつもりの後も、その病院の先生にうっかり会わないかビクビクして、余計胃を壊したものでした。


それから20年以上経ち、ついに胃カメラと向き合わねばならなくなりました。医学の進歩は日進月歩。「この20年の間に拷問ではない胃カメラになっているはずである。」そう自分に強く言い聞かせて、そのくせインターネットで辛くない胃カメラの病院を調べまくり、その時が来たのでありました。


先生は優しい声で「胃カメラ初めてですか?全然辛くないですからね。安心してくださいね。」と、疑い深く、恐怖に震えている私に言ってくれます。全然辛くないかは私が決めることで、先生が決めることじゃないと心の中で反抗します。


前日は21時までに食べ終わらなければいけない。でも最近は胃にいつまでも食べ物が残っているような感覚がするので、念には念を入れ、19時には食べ終える気の小さい私。


翌朝8時半、病院へ行く。看護師さんや先生方がやたら優しい。これはやっぱり、これから起こることが恐ろしいから、こんなに優しくしてくれるのに違いない!


カメラの入れる場所を、喉か鼻で選べるのだが、もちろん鼻からにする。耳鼻科で慣れているから、喉からでも鼻からでもむしろ得意だが、ここも安パイを狙って鼻からにする。


鎮静剤を使うかどうか質問される。食い気味で使うと発表。当然でしょう。つい先日、網膜剥離の手術をしたときに、鎮静剤を入れてくれた。その時の気持ちよさと言ったら(笑)。ここはマストで。


まず最初に、バリウムを飲む時と同じように、胃を膨らませる不味い液体を紙コップ一杯飲む。看護師さんが「一気に飲んだほうがいいですよ。」とアドバイスしてくれる。なるほど、まずいんだなと理解し、息を止め一気飲みした。「まずっ」と感じたり、あー、飲みやすいように冷たくしてくれてるだ〜などと精神状態は支離滅裂。アドバイスのおかげで首尾よく飲み込めたが、軽くゲップが出る。きっと出しちゃいけないはず。もちろん内緒にしておく。横たわり、その液体を胃壁にくっつかせるためにゴロゴロさせられる。それは得意。


その後、鎮静剤を入れるための注射針を腕に設置。そこに生理食塩水を入れる。鎮静剤は、先生がカメラを入れる直前に入れるとの事。


さて、鼻の中に鼻腔を広げるスプレーをされる。これも耳鼻科で得意だし、いつもならむしろ吸い込むが、今回は耳鼻科と比べ物にならないほどの量を入れられる。その後、はなに麻酔を入れられるが、それもかなりの量だった。すぐに麻酔が効いた。


するとどうでしょう!息の仕方がわからないような、不思議な感覚に襲われる。少し経って喉にも同じ麻酔液を入れられる。10数えてから飲み込みますよと看護師さん。なぜか抱っこしてくれる(すぐに飲み込まないように頭を持ち上げてくれているよう)。いい気持ち(笑)。さ、飲み込んでくださいと言われて、ゴクンとするとまたすぐに麻酔が効く。鼻も喉も感覚がなくなり、息が吸えないような気持ちになる。これはちょっと焦る!!


声楽家で良かったと思うのは、こんな時に意識的に鼻腔や喉の奥を拡げられること。一生懸命押し拡げて息を吸う。そんなことしなくても息は吸えているけどね(笑)。でもプチパニックの私は、一生懸命に息を吸う。とにかくこの時が1番嫌な気持ちだったー。


片方の鼻にカメラを入れるための筒のようなものを差し込まれる。ズボーって感じ(笑)。こういうのは得意。客観的に自分を見てみたい。かなり面白い絵面なはず。


ついに先生がいらっしゃる!先生はまた優しい声で「丁寧に見ていきますよ。心配ありませんからね。」とおっしゃる。こちらも、もうまな板の上の子豚なので腹は決まっている。


鎮静剤が注入されたようで、頭が一瞬フワッとする。あーもうどーでもいいやーという気持ちになる。鎮静剤が入っても意識はなんとなくある。鼻を入っていくカメラやどんどん中に進んでいくカメラの感覚は朧げながらある。ポリープがあるね、とか、びらん、とか看護師さんに伝えているのも全て分かるが、ほとんどぼーっとしているのでなんてことない、どころか、気持ちが良い。ポリープ等を生体検査に出すらしく、組織を取ったりしているらしい。違和感はあるが、だからと言って感情が波立つようなことは1ミリもない。推測では、先生が全てを調べ終わる頃に私の意識はなくなり、本気で寝込んだのだと思う。カメラを抜いていく覚えは全くない。でも「終わりましたよ!」というどこまでも優しい声は聞いたような気がする。


人生初めての胃カメラ体験_d0246243_14541446.png


看護師さんが入ってきた。ちょうどその頃目が覚めた。きっとこのくらいの量を入れると何時ごろに目が覚める、というのでもあるのだろう。ピッタリ、看護師さんが来るタイミングで気持ちよくお目覚め。随分ぐっすり寝たようだ。8:30に始まり、時計を見たら10時だった。処置室を占領し、ぐーぐー寝ていたと思うとなんとなく恥ずかしい。寝相が悪いので、ベットから落っこちないで良かった。そんなことになれば恥の上塗り。ぐっすり寝ているうちに鼻に刺さっている筒が無くなっていたり、横向きだった姿勢が仰向けになっていたり、恐ろしかった鼻や喉の麻酔も切れていた。体を回転させたりするのは重たかったろうな、などとぼんやり思う。


ゆっくりと起きあがらせてもらい、待合室で先生に呼ばれるのを待つ。カメラで見た映像を見ながらどうだったかお話下さるらしい。


すぐに呼ばれて入ると、「とても上手にカメラが飲めましたね。」と褒められる。ま、気持ちよく寝ているような状態だから上手も何もないんだけど、嬉しい。


私は貴重な人生経験を積んだなぁと感慨も一入。またいつか胃カメラをやらないといけない、と言われたら、正直……、嫌、どころかむしろやりたい!くらいの気持ちだなと思った。能天気な自分に戻っている。よし、いいことだ。


数日前にFacebookで大学院の同級生が「軽く人生観が変わるほど辛かった初めての胃カメラ」と書いていました。T君、私が受けたところでやれば良かったね(涙)。


医学の進歩に深謝。


# by komaiyuriko | 2022-03-04 16:22 | 徒然なるままに

2021 ホフク前進!

結局、年末年始は実家に帰れず、そのおかげもあって(笑)、の〜んびりと過ごしています。


年内の溜まった宿題をこなすのがここ何年かの過ごし方となっていますが、今頃ハッとする😮 

あれ、もうあと2日しか休みがない


まぁ、年中無休ともいえるし、年中休日ともいえる生活なのですから、今更焦らずとも良いではないか。なぜって、この暇つぶしの遊びも、もしかしたらボードレールからのメッセージなのかもしれないから!

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Il faut être toujours ivre.

(常に酔っていなければならない。)


酒は飲めぬが。でも酔うことに酒だけが必要なものではない。


Mais de quoi ? De vin, de poésie ou de vertu, à votre guise. Mais enivrez-vous.

(では、何で酔うか?酒、詩、美徳、何でもあなたの好きなものでいい。まずは酔いたまえ。)


むむむ。poésieだけでは残念ながら酔いが足りぬ。完結するためにはやっぱりこれじゃ。


De la musique avant toute chose.

(まず何よりも音楽を)


うふふ、結局ヴェルレーヌ(笑)。


今年も素晴らしい音楽に囲まれて、楽しく愉快に生きて参ります。所信表明。


有難いことに、両親とは文明の力で毎日会っておしゃべりしています(笑)。

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こんな駒井家ですが、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます🎍


# by komaiyuriko | 2021-01-02 20:06

セミファイナル

夏の終わりーー

この時を惜しむかの様に蝉が鳴いています。短い命を削るように、精一杯体を震わせて鳴いています。


でも、私は虫が怖い。すみません、虫たちっ!恐ろしくてたまらないのです。


小学生の頃は虫取り名人の名を欲しいままにしていたというのに、どうしてこうなってしまったのでしょう?!カナブンに糸をつけて飛ばしたり(何故、そんなことをしていたのか?!)、イナゴやこおろぎを大量にとってきたり、止まっているバッタでは飽き足らず、飛んでいる殿様バッタを鷲掴みにしたりと、かなりワイルドにやっていた。それが今では動くもの、全てが虫に感じられて、ビクビクしながら過ごす夏の日々です。


そのような中、私が一番恐れているのが蝉。あの子たち、最期の時を迎える頃、めちゃくちゃに飛ぶでしょう。そして気の毒に地面にひっくり返っていると思うと、急に騒いで暴れ、向かって飛んでくるでしょう。その様をセミ爆弾と呼び恐れています。


先日、駐輪場にセミ爆弾がいて、驚いた私は首をグギッとついやってしまった。そのせいでその日から痛みが広がり全身痛になってしまった。ちなみにその日は大切な用事があり、自転車で出かけなくてはならなかったのに、セミ爆弾のせいで自転車が取り出せず、「もう行けないっ(涙)!本日お休みします。」と、あと一歩で主催者に電話するところでした。5分ほど冷や汗をジトっと感じながらセミ爆弾を見つめ続け、勇気を奮い立たせてみたり、小石を近くに投げてみたりしたがうまくいかず、遅刻ギリギリになったところで、電車に切り替えて半泣きで出かけて行きました。


さて、どうにも体が痛いので仕方なく家の隣にある整骨院に行きました。恥ずかしながら、痛めた経緯を話したところ、突然受付にお座りになっていた別の先生がやってきて、「今、蝉の話していましたよね。私、蝉については1時間は語れます。」と言うではないですか!


先生のマンションの廊下には毎年すごく蝉がご臨終するらしく、去年は19匹もひっくり返っていたらしい。私は心の中で「くちなしの花か!」と突っ込んだが、まぁいいとしよう。先生も恐ろしくて、100均で虫取り網を買い、すくっては土に返していたそう。ゴキを退治する時に、「もう二度とここに来てはいけない」と諭すと仲間にテレパシーで知らせ、その後ゴキが来なくなるという都市伝説があるらしく、蝉にもそれを試してみたら、今年は4匹しか来なかった、というミステリアスな話を枕に、本題が始まりました。


セミ爆弾は、死んでいるように見えるけど、実は生きているから突然暴れる。だから生死を見分けられれば恐ろしいことはない、ということで先生は見分け方を私に伝授してくれたのでありました。


ひっくり返っている場合、手が上に伸びている、又は万歳みたいに開いている場合は、まだ生きている。この状態を《セミファイナル》と呼ぶらしい(笑)。ここで私は全身痛の治療中にもかかわらず、体を震わせて大爆笑してしまいましたよ、あーた!


ご臨終の場合は、腕を棺桶に入るように胸のところでクロスして畳んでいるらしい。これはもう動かないから大丈夫、とのこと。


私、こんなにも生きた知恵を授けてもらったことはない!と感動しながら、感謝の言葉と共に「先生はセミプロですね!」と言ったら大変喜ばれました。


その後、何度も地面にいる蝉を見かけましたが、このセミファイナルの見分け方を知ってから、本当に落ち着いて対処できるようになりました。恐らく多くの方にもためになる話と思うので、くだらないと思いつつも、わざわざブログにしたためました。


みなさまのお役に立つことを夢見つつ、それではどうぞ、良い夏の終わりをお過ごし下さいませ


コナモーレゆりより


# by komaiyuriko | 2020-09-06 23:08