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カテゴリ:文化・芸術( 27 )

アルド・チッコリーニ

一昨日のマチネと今宵、私は素晴らしい時間を過ごしました。
あ、申し遅れました、ユリです。
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なぜならアルド・チッコリーニのピアノリサイタルに行ってきたからです!チッコリーニと言えば、パリでサン=サーンスのピアノコンチェルトを聴きに行き、彼の音楽に陶酔した思い出があります。ルクセンブルグオケがいちいち私を現実の世界に引き戻してくれたけど。あ、余計なこと言っちゃった!

一昨日のピアノリサイタルのプログラムはこちら。一部がシューベルトのピアノソナタD960、二部がムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」です。そして今日のプログラムはベートーヴェンのピアノコンチェルト3番と4番。ね、選べないでしょ?だから2回とも行きました。至極当然。

チッコリーニのピアノはとても“優しい”のです。愛情に溢れている音なのです。ですからシューベルトはとても慰められました。あー、こうなるとチッコリーニのシューベルトのピアノソナタD644が聞きたいー(A-dur のドーレミー、レードシードミーね)。あれを弾いてくれたら多分、体中の水分が涙になる!と思いました。「展覧会」は一番最近に聞いたのが、パリのサル・ガボーでのユンディ・リーでした。若々しく溌剌とした「展覧会」でした。チッコリーニのはまるで違う曲のような、もっともっとエレガントでやっぱり優しい音楽でした。なんといってもアンコールが良かった!最初にエルガー。自然に涙が出るってことあるのねーという体験を味わいました。続いてスカルラッティ、そして最後にファリャ。エネルギッシュな演奏で、「チッコリーニを日本で聴くのも、もう最後だろうな」と思っていたのがひっくり返った演奏でした。こりゃ毎年来るな!という印象。日の出。

そして今日は私の一番好きな4番を本当に心から楽しみに出かけました。(あ、一番好きって言うと難しいねぇ、ラヴェルも一番好きだしー。どうでもいいでしょ、この独白。)オケは新日本フィル、指揮はヴォルフ=ディーター・ハウシルトさん。3番ですでに、チッコリーニのベートーヴェンを聞かせてくれました。この偉大な指揮者と私、趣味が合わないな、と感じつつもピアノの音色に恍惚とする私。ワクワクの4番です!

パリにいる頃、『ドビュッシーのチェロソナタとベートーヴェンのピアノコンチェルト4番は、素晴らしい演奏家の演奏を生で聞きたい』という夢のような目標を持っていました。チェロソナタは思いがけず、その夢が早い段階で叶いました。ラジオ・フランスでのチョンさんとラジオ・フランスの首席チェリストとの共演でした。あれも良い時間でした。その時のプログラムは今も忘れません。ドビュッシーのチェロソナタとヴァイオリンソナタ、そしてメシアンの「この世の終わりのためのカルテット」。あー、パリってこういうコンサートを無料で提供してくれるところが素晴らしい。ありがとう、パリ。貴方、素晴らしい。

そして今日のチッコリーニの4番です。まさかこんなソリストで聞けるとは思ってもいなかったので、数ヵ月前、すみだトリフォニーに電話をしてチケットを取った時の私の声、上ずっていただろうな~(照)。

聞いたことのない4番でした。最初のピアノソロ5小節を今でも頭の中で反芻します。“Tendresse(優しさ、愛情、思いやり、愛撫etc.という意)”という言葉以外に思いつきません。3楽章のロンドは思い切りエレガントでした。私はパリでこのコンチェルトのオケ譜を私利私欲に任せて即買いしました。そして雰囲気弾きをして、ピアニストのお友達を相手によく余興としたものでした(笑)。バカだねー。そして私が弾くロンドのアニマート過ぎること!遊びでやっていたにしても、深く反省しました。

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あー、ちょっと今は頭の中が飽和状態で、まともな文章が書けません。かと言って、いつもまともだとは自分でも思っていませんからご安心を。

最後に私のオススメ≪チッコリーニ≫をご紹介。
CD、セヴラックピアノ曲集に入っている『休暇にて』です。第1集、第2集合わせて全10曲です。全部が小品でどれも好き。でも1集の2曲目、「おばあちゃんが撫でてくれる」という曲は、聞いているだけで本当に慰められます。疲れた時に聞いたらきっと涙が止まらなくなりますよ。それと、同じくセヴラックの「ロマンティックなワルツ」。これも最高。是非、聞いてみてください。私に感謝するはず(笑)。

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そういうわけで、今日はここまで。さいならー。
by komaiyuriko | 2010-03-17 00:40 | 文化・芸術

芸術は爆発だ!

こんにちは、ユリタロウです(今日の主役をリスペクト)。
ついに行って参りました、岡本太郎記念館に!
入院中、TOKYO ART MAPという本を熟読し、ここに早く行きたいなと思っていたのですよ。
こういうのって前々から予定を決めず、思い立ったら吉日的な感じで行くのがいいですね。自分にサプライズ!みたいなノリで。意味不明ですか?

さて表参道のechikaで軽く食事を済ませ、早速地図をぐるぐる回転させながら(地図の読めない人の典型)たどり着きました。
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ワックワクです。

お庭がこんなんだもの。
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入口もこんなんだもの。
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入場料は600円也。彼のアトリエには圧倒されました。
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未だにこのアトリエには彼のパワーやエスプリが感じられました。今でも当然ここで作品が生まれ続けているといった、生のエネルギーに溢れていました。


ピアノもあるのですよ。彼はピアノも大変うまかったとか。
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今はエキスポジション「岡本太郎の眼」というのを開催しています。彼は写真を撮るのも好きだったよう。彼が撮った写真が展示されています。
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愛用のカメラ
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ここには私の大好きな太陽の塔がいます。大阪にいる太陽の塔には3年前の夏に会いに行きました。思っていたよりも巨大で、電車からチラリ、チラリと見える太陽の塔に胸を弾ませたものです。足元にたどり着いた時には、その大きさと親しみから笑みがこぼれました。
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今日はこの子にお触りアリとのことでまずはご一緒にセルフポートレートを1枚。
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あまりにバランスがよさそうなので、お相撲で勝負することにしました。
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なかなか手ごわいです。

お庭に出ると、たくさんのオブジェがまるで私たちに遊ばれることを待ちわびているように並んでいます。言葉なく、かつおしゃべりなオブジェたち。仕方がないから遊んでやりました。
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この子を大変気に入りました。「午後の日」という子です。話を聞いてやってるところ。

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打楽器出身のプライドにかけて、いい音を鳴らしてみせます。

サイン帳にはもちろん記入。
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ま、こんな感じで楽しく遊べる美術館です。おしゃれなオープンカフェもあります。もともと彼のアトリエだったところですから大きくありません。ですから所要時間も少なめで、ぽっと散歩がてらに行くのが良い感じ。私のようにここを目的にすると「まだまだ余力アリ」という状態になります。ですが、カフェだけなら(お庭も自由)入館料は要りませんから、これからの季節にオススメですよ!
by komaiyuriko | 2010-03-15 23:39 | 文化・芸術

目と心の保養に

どーも、ユリです。
今日は東京春一番でしたね。スゴイ風だったもん。せっかくセットした髪の毛が台無しってくらいに音を立てて吹きすさんでいました。大した髪型じゃないけどね(笑)。

さて今日は、今年の夏に行われる「夏休みモーニングコンサート」の打ち合わせに東京文化会館に行って参りました。―さりげなく宣伝。8月3日(火)の11時から東京文化会館でコンサートをしますからね、早めに手帳に書いておいてくださいまし― ホントに文化と芸術の街、上野って素晴らしいですよねー。文化に来たなら絶対どこかの美術館に行かなきゃっとばかりに美術館案内の前をウロウロ。実は観たいなと思っている美術展が私の中では3つに絞られていました。東京国立博物館での長谷川等伯展、東京都美術館でのボルゲーゼ美術館展、そして国立西洋美術館でのフランク・ブラングィン展。それらのチラシを熟読し、さて、どれに行ったでしょうか?!「いくつだと思う~?!」に見られるキャバ嬢のような質問しちゃったー!!
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正解は長谷川等伯展でしたー。

こちらの美術展は、広告を見た時から行こう!と決めていました。
だって見て、このチラシ。衝撃っ!
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そしてこのキャッチ。

かっこいいからアップにしちゃう。
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ひょぇ~~~!!!参った!このチラシを見たら行かずにはいられません。

平日の昼間にしては混んでいました。休日だと相当の賑わいでしょうね。今回はディスプレイの仕方が素敵でした。同じ会場で阿修羅展を見に行った時は、正直イマイチな感じは否めませんでしたが、今回は大当たりです!序破急っていうのかねぇ。やっぱり美術館って展示の仕方でその効果は変わりますよね。今回は素晴らしいですよ、ふふふ。

あー、どうしても言いたい!パリのグラン・パレで観て大感激だった「海のエジプト展」というのがあります。私が帰国した後、そのエキスポジションも横浜にやってくるというので、もう一度あの感激と興奮を!と思って行ったのですが、その展示方法のおかげさまで興奮度数マイナス80%ということがありました。やっぱり同じ内容でも構成って大切だなと思います。言っちゃった。

仏画師だった彼が上洛とともに人物画や花鳥図を書いていく変遷も分かり、とても充実した内容でした。仏画と花鳥画は大変心を奪われました。人物画の部分はさっさか歩きました。そして水墨画の松林図屏風では、今までに彼の作品を味わってきたからでしょうね、その濃淡というかぼかし具合にハッとさせられました。

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遠近法(と書くと雰囲気が壊れますが)を、その構図だけでなくぼかしで見事に表現したのでしょう。霧の立ち込める松林の匂いがするような素晴らしい作品でした。正直、水墨画を見て「ああぁ。」と思ったのは初めてです。歳を取ったのかな。だな。

巨大な涅槃図は印象的でした。
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さすが仏画師。曼荼羅もカードがあったら欲しかったのに残念ながらありませんでした。鬼子母神がテーマになっている作品も多かったように思います。その時代、能登の方では篤く信仰されていたようです。私も好きなテーマだけど。中学1年生の社会科自由研究のテーマ「黒塚と鬼女伝説」。懐かしい(笑)。なんか賞獲りました。いえい!

私が好きになった作品は「花鳥図屏風」でございます。
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お見事。
これはカードなので、切って折ってオリジナル屏風にしたろっと。

美術館を出て、春一番が吹きすさび、陽気とともに薫る春の匂いを嗅いだ途端、「そうだ、京都に行こう!」とJRの宣伝文句を一人ごちてしまったのでした。桜の高台寺に行きたいなー。
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上野の梅はもう八分咲き。

ではみなさん、ご機嫌よろしゅう。
by komaiyuriko | 2010-02-26 11:30 | 文化・芸術

おこんばんは、ユリです。
節分コンサート(そんなタイトルではなかったけど!)、無事に終わりました。
会場まで足を運んで下さった方々に心から感謝いたします。
楽屋で恵方巻きをきちんと西南西を向きながらほおばった甲斐あって、会場はほぼ満員でした。学生時代にお世話になった先生方が多くいらしていて、お会いした時には驚きの連続でしたが、再会できて本当にうれしかったです。
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その日はとても寒い日で、帰り道には小雪が舞っていました。
ちなみにどれが私でしょうか(笑)?!
正解は左から4番目のずば抜けて小さい茶色い子。こうして遠目で見ると、佇まいが母に似ていることに気付きます(笑)。

今日はうってかわって暖かい一日でした。陽気に誘われて、板橋くんだりから中野区の哲学堂に、アロンゾ・ジャポン(日本での我が愛車:もちろん自転車)と行って参りました。パリのアロンゾは元気かな。あー、突然悲しい気分になって来たー(涙)!アロンゾとはいつも一緒にパリ中を駆け巡っていました。帰国の際に、大事にしてくれそうなピアニストの男の子の家へ養子に出しました。彼と仲良くしているといいけど。しくしく。
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パリの部屋の玄関 ~アロンゾを偲んで~

今日は晴天なのに雨の匂いのする素敵な日でした。
雨の匂いと静けさは大好きですけれど、実質的には濡れたり、傘をさすのが面倒なのでどちらかというと嫌い。でも今日はその良さだけを味わえた特別な日でした。

アンリ・ド・レニエの『雨に濡れた庭』という詩があります。雨の匂いが感じられる静かで内省的な詩です。ここにご紹介。拙訳。

窓は開いている;
雨が細やかに
音もなく ひとつぶひとつぶ
新鮮で眠れる庭の上に降っている

雨は一葉、一葉、目覚めさせ
木の埃を落とし緑色に戻す
ぶどう棚はまどろみながらも
壁にからみついているようだ

草は震え、
生温かい砂利は音を立てる
その砂と草の上に 
わずかに足音が聞こえるような気がする

庭はひそかにこっそりと
静かにざわめき、おののく
驟雨が一目、また一目と
地面と空を編んでいく

雨が降っている 
そして目を閉じて聞いている
濡れた庭が、私が心の中に作った影に
水滴を落とすのを

レニエはベル・エポックの詩人です。3月に、ベル・エポックの詩人(マラルメ、ルイス、レニエ)の作品からインスピレーションを得て作曲された曲を集めたコンサートがあります。かーなーりー、マニアック!共演者は皆様、パリで活躍された方ばかり。場所は永福町にあるソノリウム。こちらは音響学の専門家と建築家が手を組んで作った、室内楽専門のホールです。
このホールには以前から興味津々。楽しみです。

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私が歌うのは、ドビュッシーの『ビリティスの3つの歌』、ルーセルとゴベールによる『雨に濡れた庭』、そしてルーセルとカプレによる『秋の夜』の計7曲。

もし、チラシをご覧になってご興味を持たれたフランス音楽ハイパー上級者の方がいらっしゃいましたら、是非ご一報ください!ご案内いたします。ただ、コンサートは解説(お話)がつくようですので、ご安心くださいませ(笑)。

フランス芸術マニアの世界を垣間見たい人、必見です。フフフ。
by komaiyuriko | 2010-02-09 00:34 | 文化・芸術

こんにちは、なにかと分類したがりのユリです。
今、シュールレアリスムの詩について勉強しなくてはいけなくて焦っています。私は昔から好きなピリオドというか芸術運動の流れなので楽しいのですが、自主的に勉強するのは楽しくても、やらなければいけない、というのがいや~な感じ。

シュールレアリスムといえば、アンドレ・ブルトン、ルイ・アラゴン、ポール・エリュアール、ギョーム・アポリネールなどがぱっと頭に浮かびます。美術だったらルネ・マグリット、サルヴァドール・ダリ、ポール・デルヴォーなど。でも日本におけるシュールレアリスムについてあまり深く考えたことはありませんでした。詩人で、ぱっと閃く人がいなかったからかもしれません。でも美術の分野では、シュールレアシズムの巨匠、古賀春江がいます。私の好きな画家ではもはやないですね、私の恋する画家です。驚きと称賛をもって彼の絵にはくぎ付けになります。

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「窓外の化粧」 私の携帯待受け画像(惚) 神奈川県立近代美術館蔵
※絵画全体の一部です。

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代表作「海」 国立近代美術館蔵
※全体の一部です。

彼の『牛を炊く』という詩画集がどうしても欲しいと思っています。でも廃版で、古書屋さんにはあるのですが、1万5,6千円するんですよ。安いと言えば安い、高いと言えば高いでしょ?「買うべきか諦めるべきか、それが問題だ」です。ま、買うだろうな。何かの記念にしようかな。←お金を使うことへの言い訳。

彼は自身の絵に詩を添えることが多い画家でした。私が圧倒的に好きな「窓外の化粧」にも詩が添えられています。印象的なフレーズは

過去の雲霧を切り破って
埃を払った精神は活動する
最高なるものへの最短距離

まるで日本のアラゴンです!

安易な方法でシュールレアリスムについて調べてみると、
作家では安部公房らしいです。私はなぜかあまり好きではありません。中学生の時に『壁』を読んでからなんとなく嫌い~。あ、そういえば、ハルキストであるパリのキャリアウーマン(現在は帰国)のゆきちゃんが、私のために春樹作品について講義してくれたことがありました。私がどうしても夢中になれないと言ったもので。すると安部公房の辺りに分類されるんじゃないの?という話でまとまり、あー、だからあまり好きになれないんだーという結論にいたった“2人カレーパーティー”がありましたね、ゆきちゃん(笑)。

日本が誇る漫画の分野ではつげ義春らしいです。こちらは大好き。『ねじ式』には熱中したものです。あ、私の大好きな浅野忠信主演で映画もありましたね。学生時代、夢中で観ました。ステキだった。でーもー、例えば『ねじ式』をシュールレアリスムに分類しちゃうと寺山修司はどうなるの?!幻想文学に入るのでしょうか。いや、違うなぁ。寺山修司は寺山修司という分類なんでしょうけど、気になる。なんだか分からなくなってきちゃった。

誰か、教えてー。(でた、他力本願)
by komaiyuriko | 2010-02-01 14:17 | 文化・芸術

その日、だーれも乗っていない電車に乗りました。
違う世界へ連れて行かれそうな不安が取り巻きました。
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こんにちは、ユリです。
今月末まで開催されている、『NO MAN’S LAND 創造と破壊@フランス大使館~最初で最後の一般公開』と題されたアートイヴェントに行ってきました。
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ジョゼフ・ベルモンが設計した(旧)フランス大使館は、私が留学前にヴィザを取りに行った思い出の地。思い出というより、最初の難関でした。そもそも「ヴィザって何?!」の次元の私でしたから。

今日はなんのストレスもなく、ここを訪れることに喜びを感じていました。入口から私たちの胸をふくらますアートが所せましとお出迎えです。ちなみに入場無料。

このイヴェントのスゴイところは、大使館という普段は閉鎖的な(言い方が悪いですね。一般には出入りできない日本にある外国)建物自体を自由に歩き回れるというところ。しかも、入口から、建物、庭、トイレ、植物など、すべての空間やオブジェがアーティストたちによってパーフォーマンスの媒体になっているところです。
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ねー(笑)。面白いでしょ。アーティストさんがその部屋の付近にいてお話できることもあります。
私が猛烈にその世界に引き込まれたのは、デュッセルドルフに住む日本人アーティストの佐藤雅晴さんのパフォーマンス。魅了されすぎて写真を撮ってくるのを忘れてしまいました。詩的な映像を流していました。ご本人とお話させていただきましたが、どうやらアニメーションのようです。誰もいないけれど、確かに人の気配がものすごくする日常の断片を捉えていて、そこにある電話が鳴ります。それはコミュニケーションを求めている機械。いない人への繋がり、または別の世界からの繋がりのようにも感じられます。それでもそこには「人」が大いなる存在感を残しつつ決して誰もいないのです。超短編オムニバス映画をみているような感覚の作品で、長らくぼ~と観てしまいました。素敵でした。私の好きなホッパーの絵のような作品でした。質感は温かいのに寂しくて喉の奥がギュッと締まるような、そんな作品でした。

あ、もちろん、私だけの鑑賞の感想ですからね。他にも素晴らしいと感じるものがたくさんありました。皆さんはどの作品がお気に入りでしょうか?

それから、このイヴェントは31日までですから走って!
って書いた途端に吉報ですよ、皆さん!
今、大使館のホームページを貼り付けようと思って見てみたら、2月18日まで延長されたようです。きっと好評だったのでしょうね。月火水はお休みですからお気をつけて。
フランス大使館“NO MNA'S LAND”←今、日本語のサイトがメンテナンス中のようで、公式ページはフランス語のみ。悪しからず。
オススメですよ。
by komaiyuriko | 2010-01-29 02:55 | 文化・芸術

こんにちは、ユリです。
突然ですが皆さん、観た方がいいですよ、こちらの映画を。
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シャネル&ストラヴィンスキー
シャネルはきっと知らない人はいないでしょうね。でももしかしたら、ストラヴィンスキーのことは知らない、とおっしゃる方もいるかもしれません。

ストラヴィンスキーとは、20世紀のロシア人作曲家です。私の好きな作曲家ベスト10にはかなり上位で入ってきます。私にとってストラヴィンスキーは忘れられない出会いのある作曲家です。

あれは高校3年生の時~。
声楽科である私は、さすがにストラヴィンスキーの曲を歌うことはその頃ありませんでした。ですから、彼についてはお恥ずかしながら名前とバレエ音楽の代表作名くらいしか知らなかったのです。ある日、音楽史の授業でついにストラヴィンスキーと接することになりました。

それにしても3年生の音楽史の授業は楽しかったな~。あ、3年生に限らず、高校時代は最高に楽しい日々でした。日曜日がどうか来ませんように!といつも願っていて、一番つらいのは夏休みでした。早く学校に行かせてくれー!!といった禁断症状が表れたものです。授業も先生もすべてが興味深く、友人もさすがに音楽家ですから面白おかしな人ばかり。あの3年間は私の宝物です。

さて、その3年生の音楽史の授業の教材は「印象派以降」という分厚い辞書のような本でした。
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先生は私の大好きだった担任の作曲家先生。カンちゃんという愛称で生徒から愛されていました。寛大でユーモアのある素敵な先生。だから授業中も生徒は自由に感じたことを好き勝手発言します(笑)。

その日は「原始主義」に突入した日でした。「原始主義」とは、このストラヴィンスキーによって始まったといっても過言ではありません。特徴は強烈なリズム感、複調(普通の曲は例えばハ長調のように1つの調で作曲されています。もちろん転調はありますが、ハ長調を演奏している間はハ長調という1つの調が原則。それが同じ時間内に複数の調が同時に現れていることを複調と言います。)、大規模なオーケストラ編成と大胆なオーケストレーションです。この「原始主義」を代表するストラヴィンスキーの作品は、バレエ音楽の『春の祭典』『火の鳥』『ペトルーシュカ』です。でも何と言っても『春の祭典』でしょうねー。

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授業も『春の祭典』がテーマに挙げられました。オーケストラの楽譜が配られ、音源がかけられます。音楽史の授業は、高校1年生をスタートに、古いものから順番に勉強していきます。当然最初はグレゴリオ聖歌。ネウマ譜といってグレゴリオ聖歌時代の楽譜の読み方なども習いました。そしてどんどん時代が新しくなり、3年生で20世紀へと進みます。ということは、私たちも時代時代を通って、その時代の鑑賞者と同じように新しい音楽を体験し、勉強することになるのです。

『春の祭典』が楽譜とともに私たちに提供された時、クラスはまるで動物園のように乱れました。ストラヴィンスキーが新しすぎたのです。音楽が強烈すぎたのです。「こんなのは音楽じゃない!」と否定する人も多かったように記憶しています。何しろ先生が自由人だから生徒も自由人。思ったことは授業中みんなベラベラ発表します(笑)。その後、インパクトのあるリズムの部分をみんなでリズム打ち(楽譜を見ながら手で机をたたく)してみよう、ということになり、クラスはますます荒れたことを思い出します。

私はすごく興奮しながら、とても興味を持ったことを覚えています。何か凄いことが起こったな、という衝撃の出会いでした。

前置きが長くなりましたが(笑)、その衝撃のストラヴィンスキー『春の祭典』がパリのシャンゼリゼ劇場で初演された時の模様から、この映画は始まります。音楽とバレエの圧倒的なシーン、そして会場の、まるで高校3年生の音楽史の授業を想起させる混乱。すさまじいオープニングです。

私は初演のニジンスキーの振付も素晴らしかったし、音楽もその時点ですでに良かったのだと思います。現代人だからそう思うのかな。でもとにかく大失敗に終わったこの『春の祭典』が、改訂され再演を迎え成功を収めるまでのシャネルとストラヴィンスキー2人の間に起こる、才能と愛と苦悩と芸術と創造の物語です。

シャネルと言えば私を失笑させる名言集の持ち主。
「香りをまとわない女性に未来はない」
納得するけど、その言い草、どう?!って感じです。もう一つ爆笑した名言があったのですが、今ど忘れ。そして今回の映画でも名言を吐き捨てていましたよ。セリフでしょうけど、本当にシャネルが言っていそうで苦笑の名言。
「2人の女に値しない男ね。」
かっけ~、シャネル。ストラヴィンスキーもタジタジです。

シャネルってスゴイ!の一言でございます。シャネルにひれ伏したくなるような映画です。
映像も美しく、パリもやっぱり素敵。シャネルの別荘でのシーンも多いのですが、ガルシュといってパリ人の憧れの地。あの時代のパリの文化や社会、そして芸術家たちの芸術家としてではない、一人の人間としての部分を垣間見たような気がしました。でも人間、すべての要素があってのアイデンティティですからね~。

最後に私のオススメ“ストラヴィンスキー”を3つ、ご紹介。
ダントツ1位・・・『春の祭典』
ダントツ1位タイ・・・オペラ『放蕩者のなりゆき』
ダントツ2位・・・『ペトルーシュカ』、です。

バレエ音楽の2つはCDが山のように出ています。鑑賞の機会もあると思います。是非。オペラ『放蕩者のなりゆき』は、「原始主義」の次に彼が到達する「新古典主義」の代表作です。音楽に一音たりとも怠惰なところのない傑作です。このオペラは、音楽だけをCDで聴いていても完璧~!とうならずにはいられません。でも演出家にとってはきっと相当やりがいのある作品でしょうから、できるだけ多くの舞台を観たら面白いと思います。日本では残念ながら上演の機会が少ないでしょうけどね~。
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ベルギー王立モネ劇場、大野和士指揮のDVDが発売されています。私がパリにいた頃、ブリュッセルまで観に行ったものです。最高でした。演出は鬼才ルパージュ。オススメです。オペラの最後、主人公アンがもはや常人ではなくなっている、かつての恋人トムを子供のように抱いて子守唄を歌うシーンがあります。感動的で静かなシーンです。充足の時間です。このシーンを見ると、私が死ぬ時、同じようにしてほしいと願わずにはいられません。
by komaiyuriko | 2010-01-23 18:01 | 文化・芸術