セミファイナル
2020年 09月 06日夏の終わりーー
この時を惜しむかの様に蝉が鳴いています。短い命を削るように、精一杯体を震わせて鳴いています。
でも、私は虫が怖い…。すみません、虫たちっ!恐ろしくてたまらないのです。
小学生の頃は虫取り名人の名を欲しいままにしていたというのに、どうしてこうなってしまったのでしょう?!カナブンに糸をつけて飛ばしたり(何故、そんなことをしていたのか?!)、イナゴやこおろぎを大量にとってきたり、止まっているバッタでは飽き足らず、飛んでいる殿様バッタを鷲掴みにしたりと、かなりワイルドにやっていた。それが今では動くもの、全てが虫に感じられて、ビクビクしながら過ごす夏の日々です。
そのような中、私が一番恐れているのが蝉。あの子たち、最期の時を迎える頃、めちゃくちゃに飛ぶでしょう。そして気の毒に地面にひっくり返っていると思うと、急に騒いで暴れ、向かって飛んでくるでしょう。その様をセミ爆弾と呼び恐れています。
先日、駐輪場にセミ爆弾がいて、驚いた私は首をグギッとついやってしまった。そのせいでその日から痛みが広がり全身痛になってしまった。ちなみにその日は大切な用事があり、自転車で出かけなくてはならなかったのに、セミ爆弾のせいで自転車が取り出せず、「もう行けないっ(涙)!本日お休みします。」と、あと一歩で主催者に電話するところでした。5分ほど冷や汗をジトっと感じながらセミ爆弾を見つめ続け、勇気を奮い立たせてみたり、小石を近くに投げてみたりしたがうまくいかず、遅刻ギリギリになったところで、電車に切り替えて半泣きで出かけて行きました。
さて、どうにも体が痛いので仕方なく家の隣にある整骨院に行きました。恥ずかしながら、痛めた経緯を話したところ、突然受付にお座りになっていた別の先生がやってきて、「今、蝉の話していましたよね。私、蝉については1時間は語れます。」と言うではないですか!
先生のマンションの廊下には毎年すごく蝉がご臨終するらしく、去年は19匹もひっくり返っていたらしい。私は心の中で「くちなしの花か!」と突っ込んだが、まぁいいとしよう。先生も恐ろしくて、100均で虫取り網を買い、すくっては土に返していたそう。ゴキを退治する時に、「もう二度とここに来てはいけない」と諭すと仲間にテレパシーで知らせ、その後ゴキが来なくなるという都市伝説があるらしく、蝉にもそれを試してみたら、今年は4匹しか来なかった、というミステリアスな話を枕に、本題が始まりました。
セミ爆弾は、死んでいるように見えるけど、実は生きているから突然暴れる。だから生死を見分けられれば恐ろしいことはない、ということで先生は見分け方を私に伝授してくれたのでありました。
ひっくり返っている場合、手が上に伸びている、又は万歳みたいに開いている場合は、まだ生きている。この状態を《セミファイナル》と呼ぶらしい(笑)。ここで私は全身痛の治療中にもかかわらず、体を震わせて大爆笑してしまいましたよ、あーた!
ご臨終の場合は、腕を棺桶に入るように胸のところでクロスして畳んでいるらしい。これはもう動かないから大丈夫、とのこと。
私、こんなにも生きた知恵を授けてもらったことはない!と感動しながら、感謝の言葉と共に「先生はセミプロですね!」と言ったら大変喜ばれました。
その後、何度も地面にいる蝉を見かけましたが、このセミファイナルの見分け方を知ってから、本当に落ち着いて対処できるようになりました。恐らく多くの方にもためになる話と思うので、くだらないと思いつつも、わざわざブログにしたためました。
みなさまのお役に立つことを夢見つつ、それではどうぞ、良い夏の終わりをお過ごし下さいませ♡
コナモーレゆりより