赤いカンナと黄色いカンナ
2016年 08月 03日今年5月、現アメリカ大統領のオバマさんが広島に来てスピーチをしたことは、戦後の日本にとって何よりも大きなニュースだったと思います。スピーチを流すニュースを見ながら涙が止まらなかった。なぜなら、彼が日常愛を知っていたから。アメリカの大統領が日々の小さな愛の溢れる挨拶や、食事時の会話の慈しみ深さを知っていたから。それを一瞬にして奪われたことの悲劇の深さを知っていたから。ニュースを見て泣くなんて人生初めての体験!
何度伺っても衝撃的な原爆資料館。
土の力を信じよ、大地を讃えよ、と謳う大木惇夫の「大地讃頌」を思い出します。そして三枝ますみの書いた「黄色いカンナ」を思い出しました。
黄色いカンナはお庭のあかり
ほっかりやさしい花あかり
そこからひぐれがひろがると
私もやさしくなるのです
お庭に花が咲いた、あぁ、夕焼けだ、綺麗な空の色、夕暮れ時のこの匂い、心が緩和し、優しくなれる ーこんな気持ちが世界中に広がればいいのに。人々が小さな小さな幸せを感じられるカンナの花を、どうか世界中に咲かせてください。
戦争は地球上からなくならない。でもどんな人も、差はあれ日常愛を知っている。それでも残念なことに怒りの方が強いエネルギーを持っている。文化のあるところに争いは起こらない。でも貧困の厳しいところには文化は届かない。誰か、本当の平和を発明してください。
「過ちは二度と繰り返しませぬから」
この我々の応えの句が、虚しく広島の夜の空に消えていきます。