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ノワゼーへ向かう道

今年は(繰り返し言いすぎて気恥ずかしい位ですが…)、プーランクの没後50年です。その関係で、今年はプーランクをたくさん歌わせて頂き、大変楽しゅうございました。でももう11月。何かにつけてプーランクを歌ってもいいのだ!というお祭り年が終わってしまいます。そしてそのプーランク祭りも、そろそろ佳境に入って参りました。

というわけで、プーランク記念レクチャーコンサートを、私のフランス時代の師匠、エディット・セリグ女史をお招きして開催致しました。
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このコンサートを主催されているのは、日本におけるフランス文化芸術の知性、ムッシュ市川さんです。彼がマダム・セリグとお話している様は、もうフランス人。単にフランス語がうまい(実際うますぎる)というだけではありません。感覚やセンスがフランス人を超えているのです。すごい人がいるもんだ。

彼のピアノで、私は念願かなってプーランクの「偽りの婚約」、ラヴェルの「マラルメの3つの詩」を歌わせて頂きました。
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よーく知っている作品でも、やっぱり取り組んでみると大変な作品でした。それだけにやり甲斐は大きく、コンサートが終わった今となっては、これらの歌曲集がまた、血となり肉となった、と感じます。

マラルメに関しては、同じレクチャーコンサートシリーズでドビュッシーの「マラルメの3つの詩」を歌った際、勉強するチャンスに恵まれた詩人。マラルメご本人様と、扱われている3つの詩に対しては、自分なりの理解に辿りつきましたが、結局、マラルメの詩に対する美学や真髄までは、到底うっすらとも分かったとは言えませんでした。明確になったことと言えば、「そうだな、ここは文学者に任せよう!」ということ(笑)。笑い事じゃないね。でも一介の歌い手がマラルメ分かっちゃったら、マラルメ研究家に悪いよね。

今回はルイーズ・ド・ヴィルモランに焦点を当てて勉強に励ませて頂きました。
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知れば知るほど魅力的な女性。半ば恋したように彼女のことを追いかけました。はい、ストーカー。

その結果、終曲「花」で半泣き。それまでは《120%の感情を90%で表現》を一人合言葉に演奏してきたのに、花ではヴィルモランの人生が走馬灯のように巡ってきました。サン・テグジュペリのこと、ブルジョワ階級の家族のこと、戦争のこと、今いるハンガリーのこと等。それらが、「花」、「砂」、「嘆きのリボンで飾られた心」という言葉たちと共に「燃える」に繋がるところ、それも「聖なるイメージと共に」では、本当に泣けた〜。心の中では号泣でした。

作曲家や詩人の人生を追体験するのはとてもエネルギーが要ることですが、素晴らしい成果をもたらしてくれます。今夏、プーランクを辿る旅をされて来た、私の尊敬するピアニストの鶴園紫磯子先生の特別講義、そしてメモリアルコンサートが開かれました!それも、同じく私の尊敬する、頼りになる先生、ソプラノ太田朋子さんの夢の競演コンサート。ふわふわ飛んでいるような気持ちで出かけました。
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やっぱりー、あっという間だったー。終わっちゃって嫌だって感じー。もっと二人でおしゃべりしたり、演奏したりしてーって感じー。駄々をこねるとギャルっぽくなっちゃう。楽しすぎて呼吸の浅くなるコンサートでした。

来週には、私たちのコンサートにいらしてくださったことで、お知り合いになりました久野麗さんという、詩人にして脚本家、そしてプーランク研究家の方のコンサートがあります。こちらも楽しみで今からワクワク。

あ〜、幸せな毎日。
ではボールドウィン大先生のプーランク(とデュパルク)の研究会に行ってきまーす。あはは〜

4時間後―
今日の講義での名言
「ピアノ(p)が歌えない歌手はオペラばっかり歌ってなさい。」byボールドウィン


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by komaiyuriko | 2013-12-01 01:10 | コンサート