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極寒の冬を越えて その② ~おふらんす文学プロムナード⑮~

先日、私にとって大変光栄なコンサートが開催されました。フランスの作曲家ジャン・クラの作品をメインに扱い、関わりのある作品と共にプログラミングされた素晴らしいコンサートです。しかも演奏者がスゴイのです。私の大尊敬するピアニストの鶴園紫磯子先生、パリのコンセルヴァトワールの教授陣、チェロのフィリップ・ミュレール氏、ピアノのジャック・ゴーティエ氏、ヴァイオリンの七島晶子氏、錚々たるこのメンバーでのコンサートに、私なんぞが共演の機会を得たのでありました。
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私はクラの師匠であったデュパルクの歌曲、ボードレールの詩による二曲を歌わせて頂きました。
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言わずと知れた世界の名曲「旅への誘い」と「前世」です。やっぱりボードレール、かっこいい。ボードレールの言葉には強さがあるので、彼の詩を口にするだけで、自分が高まったような気さえします。精神的な高貴さがあるというか、孤高な幻想家というか、やっぱりダンディズムだね~。

アンサンブルの楽しさ、音楽作りの喜びを再確認させられたコンサートとなりました。ドビュッシーのチェロソナタは私の大好きな曲。今回は物凄くアグレッシブな演奏で、こんなドビュッシー聴いたことない!という、大興奮を覚えました。ゴーティエさんと七島さんのクラの小品も大変感動的でした。愛情のこもった優しい対話のような演奏でした。

今月はフランス歌曲づいています!明後日はナント!
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フォーレの「優しき歌」全曲だよ!しーかーも、室内楽伴奏版。これはみんな、オニヴァだよ。

いつもご一緒させて頂いているヴァイオリニストの池澤氏率いるピアノカルテットのコンサート。

ショーソンの「終わりなき歌」の弦楽版も歌います。オープニングはショーソン。失恋による大絶望ソングに始まり、フォーレの、恋の始まりの高揚感、不安、希望、そして愛の成就を歌います。なかなか演奏されない(なぜなら単純に難しいから!)コンサートですが、字幕をつけて上演致します。今やっと訳詩が終わったところ!るん♪

3月29日(金)19時開演
杉並公会堂小ホール、3000円です。当日は3500円なので前日までにご連絡くだないな。

フォーレの『優しき歌』は全9曲で、その第8曲目が「ねぇ、そうでしょう?」という曲。泣くのを堪えるソング№1です。こんなに優しい歌があるでしょうか。拙訳にてご紹介。

ねぇ、そうでしょう?
P.ヴェルレーヌ

私たちは人が見ていようが、知らずにいようが気にかけず
希望が微笑みながら示してくれる、慎ましい道を
楽しくゆっくりと歩いていきましょう

深い森の中のように、愛の中に取り残された
私たちの2つの心が、穏やかな優しさをあらわにすると
夕暮れに歌う、二羽の夜鳴き鶯のようでしょう

私たちはこの先、運命が何を遣わすのか心配せずに
手に手を取って、同じ歩調で歩いていきましょう
混じりけのない気持ちで愛し合う、無邪気な魂を持って
ねぇ、そうでしょう?

幸せを感じると、それが達成されない不幸、もしくはその崩壊を恐れてしまう癖のある詩人ヴェルレーヌさん。誰もが持っている、そんな自信のなさや弱さを見事に曲にしたフォーレさん。この二人の芸術への昇華は必聴です。

終曲は「冬は終わりに」。苦悩の冬は終わった、今の自分には、どの季節が巡ってきても、もう大丈夫だ、私の横には愛する人がいるのだから、という内容。超訳ですが(笑)。

日本にも再生の春が今、ようやくやってきました。まだまだそんな気分になれない東北のことを考えると胸が苦しいですが、希望を、常に未来に光を感じられるような素晴らしい国であってほしいと願い、祈るばかりです。音楽をするとは、そういうことだと感じる今日この頃です。


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by komaiyuriko | 2013-03-28 02:15 | 文化・芸術