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文学プロムナード⑪~続・軽井沢日記~

さて、早起きをした素敵な日の午後、塩沢湖にある軽井沢高原文庫に行きました。
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充実した館内

学生時代夢中になった福永武彦に、近年またえらくご執心で、彼についての展示や、また当然立原道造の展示、それから堀辰雄、有島武郎の別荘や深沢紅子のアトリエもあるというので是非行ってみたいと思いました。ちなみに深沢紅子さんは岩手県盛岡の出身で、そのお嬢様である方と父は同年代で懇意、アトリエ拝見中に彼女に電話して「元気?今紅子さんの軽井沢の別荘にいるんだよ!」なんて言っていました。気軽すぎない?その電話(笑)。
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もともとは堀辰雄の別荘。その後深沢夫妻が管理していたそう。

私の師匠、芹沢文子先生は文豪、芹沢光治良の三女です。学生時代、先生のお宅にレッスンに伺うと二階の窓際で安楽椅子に腰掛けてお庭を眺めている光治良先生をしばしばお見かけ致しました。挨拶をすると、慈愛に満ちた表情で挨拶をお返し下さるその図は忘れることが出来ません。この高原文庫には光治良先生の展示も充実しておりました!
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沼津にある芹沢光治良記念館のエキスポジションポスターも貼られていました。

敷地内にある堀辰雄の別荘に向かうにはこの林を抜けます。
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陽だまりが美しい。
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こんな風に作品が添えられたりしています。
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中村真一郎文学碑(文字がよく見えませんね。むしろ父と私のツーショット)

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堀辰雄別荘内。愛用の蓄音器。フランクなどを聞いていたらしい。ご趣味がいいですね(笑)。

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雑誌記者と情死したことで有名な有島武郎の別荘、浄月庵。あ~ぁ。今はライブラリーカフェ「一房の葡萄」

去年、その時も夏でしたが本郷にある立原道造記念館が閉館すると聞いて急いで行きました。素晴らしい内容の記念館で、ますます道造のことが好きになりました。こちらの軽井沢高原文庫には、そこにあったミュージアムグッズがそのままのロゴで移動されて来ておりました(笑)。記念に道造の直筆詩のコピーを購入。この人の字は大変可愛らしいのでこういう商品には持ってこいですな。あ、また勝手にマーケティング考えちゃった。
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これは道造の詩碑「のちのおもひに」より

外国の詩でも日本の詩でもそうですが、私は詩のことばに生命を強くしてもらったのだとつくづく思います。深い理解があろうとなかろうと、詩を読むことはその言葉の持つ力が体に入っていくような気がするのです。道造の詩を読むと、リズムや語感、そしてリリシズムとサンシビリテに、人間としての感覚や知恵が精神の隅々まで行き渡るような気がします。

ここに道造の「のちのおもひに」を全文掲載します。


のちのおもひに
                     
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
──そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……

夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには

夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう


中原中也に似たそこはかとない寂しさと静寂が全体を覆います。風景から風景へ移る距離や澄んだ空気、そしてノスタルジーを感じます。泣いちゃいそう。

もう一篇、道造らしい繊細な美しい詩、じんわりと涙がでてくるような、心が満たされてはいるけれどうつろになるような 詩がありますのでご紹介。


草に寝て……
六月の或る日曜日に

それは 花にへりどられた 高原の
林のなかの草地であつた 小鳥らの
たのしい唄をくりかへす 美しい声が
まどろんだ耳のそばに きこえてゐた

私たちは 山のあちらに
青く 光つてゐる空を
淡く ながれてゆく雲を
ながめてゐた 言葉すくなく

──しあはせは どこにある?
山のあちらの あの青い空に そして
その下の ちひさな 見知らない村に

私たちの 心は あたたかだつた
山は 優しく 陽にてらされてゐた
希望と夢と 小鳥と花と 私たちの友だちだつた


道造の名詩『優しきうたⅡ』の「夢みたものは……」に通ずる詩ですね(涙)。
そんなわけで、軽井沢高原文庫、なかなかオススメですよ。是非足を運んでみてください!
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by komaiyuriko | 2011-08-18 14:16 | 文化・芸術