しみじみと もののあわれを 知るゆりこ ~白秋バージョン~
2009年 09月 28日先日は麻理ちゃんのリサイタル、楽しかったですね~。
オシャレなのに暖かいコンサートでした。ホールもステージ上も客席も一体感があって、とても和やかで愛に溢れた空間でした。なんだか大げさな表現ですけれど、本当にそんな感じがしました。
二期会研修所時代、私は渋谷のダイニング・バー『チェルシーカフェ』でバイトをしていました。今回ソムリエ・デュ・コンセールをしてくれたタカシ君も一緒に働いていました。麻理ちゃんもほんの一時期、ほとんど邪魔をするような仕事ぶりで手伝ってくれたこともありました。そこは美味しいお料理とお酒、そして美味しい音楽を提供するお店で、毎日ライブ演奏があり、さらに1年に1度、チェルシーコンサートと称したエンターテイメントコンサートを行っていました。今回はその時の仲間がほぼ勢ぞろいしてくれました。
私は当日裏方全般をさせていただきました。照明、舞台転換、カゲアナ、タイムキーパー、カゲ朗読…。アタシ、どんどん舞台制作の力を実践として身につけてきている!と実感し、とても充実した気分でした。でた、自画自賛。
というのも、クルト・パイユは最近までどんなコンサートでもいつも自分たちでやりくりしてきていました。印刷物デザイン、印刷、照明プラン、演出プラン、台本制作、演出、照明、転換、キャストスケジュール管理、稽古プラン、カゲアナ等々。今からほぼ10年前、私と麻理ちゃんは舞台制作の仕事をしていました。あの時の経験がこんなにも役に立つ日がくるとは、これっぽっちも思ったことはありませんでした。ものすごく大変な修行のような日々で、あの時分は毎日埃だらけ、心も体も傷だらけのボロ雑巾のような私でした(笑)。まさに修行僧。それが今こうして実を結んでいると思うと、無駄なことはないのだなとしみじみ思います。
私たちが舞台に立つとき、私たちはそれを支えて下さっている方々の大きな力を感じずにはいられません。先日の北原白秋コンサートの時も然り。というわけで、制作の方と共演者、そして会場にいらして下さったお客様に感謝の気持ちを込めてコンサートのご報告をいたします。
今回は北原白秋の歌、断章(詩と歌の間のようなスタイルを持つ作品)に作曲家の加藤邦宏さんが音楽をつけた歌曲と、同じく白秋の“ヒヤシンス薄紫に咲きにけり”からインスピレーションを受けた作品であるピアノカルテットのコンサートでした。
白秋の青春時代から「桐の花事件」と呼ばれる姦通事件直後までの作品を彼の人生と共に歩むコンサートでした。コンセプトがとても興味深く、また解説付きのコンサートだったのでお客さまも白秋に感情移入することが容易にできたのではないかと思います。
終演後に記念撮影(笑)。
やっぱり歌曲はいいですねぇ。日本歌曲、フランス歌曲、ドイツリート。私の好きなものです。
サウンド・オヴ・ミュージック風。
※もののあわれ・・・自然・人生・芸術などに触発されて生ずる情趣。