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昨年の11月、江戸川区の女声合唱団から、指導をお願いしたいとのお話がありました。その名は「うたうーまん」。……。随分ふざけた名前だな、と思いましたが、同時にオモロイ合唱団に違いないと確信しました。

実はこの合唱団、ドビュッシーの記念年に、クルト・パイユで『選ばれし乙女』を上演した際、コーラスで参加してくださった団なのです。ですから、まるっきり知らない合唱団ではありませんでしたが、初回の稽古に伺った時は驚きました。だって練習室に1歳未満の赤ちゃんがゴロゴロしてるんだもーーん。そして隣室には、1歳以上、幼稚園未満の子供たちが保育士さんと楽しく過ごそうと、そこにもざっと10人ほどいました。

日本の少子化は嘘だ、と思いましたね。江戸川区は日本を救う!

練習中も絶えずどこかで赤ちゃんが泣いていたり、可愛いヨチヨチ歩きちゃんやハイハイちゃんたちが移動しています。何かにぶつからないか、倒れて怪我しないか、私は慣れていないので気が気でない。指揮をしている私の股の間を一人の赤ちゃんがくぐり抜けたら、それを見ていた子達が並ぶ(笑)。それら全ては、もう可愛くて仕方ない光景の連続ですが、コーラスの練習だとものすんごく気が散ります(笑)。

そういうわけで、この合唱団はハーモニーの作り方とか、曲の作りを見てみて、どこがどうなっているとか、詩の内容がどうだとか、あまり気にしたことはなかったようです。一瞬気が遠くなりましたが、やる気がどんどん湧いてきたのです。なぜなら、メンバーのお母さんたちの目が澄んでいるから。これ、ホント。

この方達の日常って、私の未知の世界で、ある意味戦場のような毎日なんだろうな、と想像するのです。小さな子供が二人、三人いて、朝から晩まで目が離せなくて、泣いたり叫んだり、ご飯作って食べさせたり、食べなくて怒ったり、着替えさせたり、お風呂に入れたり、おしめかえたり、寝かしつけたり、夜泣きされたり、まったく、母親というのはとんでもなく大変な仕事です。それなのに、この方達は週に一回、歌を歌いに来ようとしているのです。私は今まで感じたことのない深い感動を覚えました。私だったらどうだろう、多分、歌わないんじゃないかな、と。彼女たちは日常生活にひと時の音楽を求めている。だからこんなにも純粋な眼差しを向けているのだと気付き、私の気合いがムンムン湧き上がって来たのでした。

音楽面だけとってみれば、こりゃー道のりは長いぞ!と言った感じでした。それなのに、ある日『全日本おかあさんコーラス大会(コンクール)に出たい』などど言うものですから、「おっとー、本格的な合唱曲も歌ったことないのに?」と正直焦りました。でも頭の中に閃いた曲があったのです。徳山美奈子先生の『台所の歌 シャンソン・キュイジーヌ』という曲集です。私はその中から、今のうたうーまんにもっともふさわしい曲を三曲選び、コンクール出場を決めました。

作曲家の徳山先生は、大変豊かな方で、私たちの稽古に何度もいらして下さり、アドバイスと愛と勇気を与えて下さいました(涙)。
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稽古にいらしてくださった際に、先生を囲んで記念撮影。本番当日も、金色のうたうーまんパネルを持って応援にいらしてくださいました!

あっという間に月日は経ち、驚くことにあっという間に“音楽できる”団へと成長していました。実際には、長い低迷期があって、突然グンと伸びたのでした。やる気スイッチが入ったんだな、あれは(笑)。人のやる気とはすごいものです。

またメンバーはもとより、ご家族のサポート体制がスゴイ!臨時練習やら何やらで、それぞれのご家庭にご迷惑をおかけしたと思いますが、パパさんたちやおじいちゃんおばあちゃん方にご尽力頂き、助けられました。自分だけが頑張ろうと思っても難しい状況ですものね。

本番の日、朝早く集まって、会場近くのカラオケボックスで最終練習をしました。こういうところ、ママさんたちのアイディアと行動力に脱帽です。

会場に到着し、ベルトコンベア式にステージへ。ステージに乗った時、メンバーの照明を浴びたお顔が大変凛々しく、堂々としていて、たった7ヶ月しかご一緒していないのに、初回の稽古で歌っていた「(ほぼユニゾンの)ミッキーマウスマーチ」を思い出し、私ったらこっそり感動していました。

本番では、今までで一番集中していて、彼女たちの中では最高の演奏ができたのではないかと思います。緊張感と集中力と、そして舞台を楽しんでいるような雰囲気さえありました。これは徳山先生の曲のおかげでもあるのです。我らうたうーまんにとって等身大の曲で、笑いあり、涙ありの三曲でした。会場にもそれが伝わったようで、現代社会をシニカルに歌う、ブラックユーモアたっぷりな曲では、会場からも笑い声が聞こえました。そして母となって初めて気づいた、自分のお母さんへの感謝を歌う曲では、涙なくては聞けない仕上がりだったと思います。
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演奏後、写真を撮って下さいます。パパさん達もご一緒に!素敵な写真です。
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ソプラノさんと。なめんなよのポーズ。

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メゾさんと。おんどりゃーのポーズ。

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アルトさんと。ワワワワ〜のポーズ。

結果はどうであれ、よくやったなぁと、やり切った感でいっぱいでした。その後、私は別のコンサートの打ち合わせのため、一旦会場を離れました。私の父は、私たちの演奏もあったし、知り合いも他の団体で出ていたため、炎天下、聴きに来てくれました。そして発表まで残って、結果を聞いていてくれました。

新宿にいた私の元へ父からメールが届きました。『マーガレット賞受賞!』と。何とも嬉しい速報でした。入試に受かったけど、本当か信じられない子のように、メールを何度も見直しました(笑)。一つのご褒美が与えられたようで、本当に嬉しかったし泣けました!
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父撮影。誉れの瞬間。

うたうーまんのおかげで、久しぶりに忘れかけていた感覚を思い出させてもらいました。

「一生懸命がむしゃらに頑張る→良い結果を得る」

これって、やっぱり最高だなと思いました(笑)。
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うたうーまん事務局のメンバーとラムしゃぶ屋で慰労会。賞状と花束がまっぶし〜!

当日は、30度超えの真夏日でした。キラキラとした初夏の陽射しが、数ヶ月、熱く清々しい経験を共にした私たちに降り注いでくれました。うたうーまんの皆さん、ありがとうございました。


ボーナスショット
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初出場のうたうーまんは、母の日の朝日新聞全国版に大きく取り上げられました。これも素晴らしい思い出の一つです。
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by komaiyuriko | 2014-06-14 01:38

5月の終わりは我ながら頑張りました。自分で言っちゃった(笑)。

今年も新作歌曲発表のコンサートに関わらせて頂きました。
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尾高賞作曲家(三回目ですって!)の猿谷紀郎先生の新作です。去年、一昨年と歌わせて頂いていますが、先生の作品はなかなか手強いのです。先生が今頃作曲してるんじゃないかな〜という頃を見計らって(預言者か!)、メールを出すのです。『どうか先生、お手柔らかにm(_"_)m』と。

今まで、その願いは聞き入れられませんでした。今年もまた、コンサート前二週間を切った頃に楽譜が届いた、という点を除けば、願いはだいぶ聞き入れられたような気がします。もちろんスーパー難しいのですが、あの難しさに飼いならされてしまったのでしょうか…。今年は比較的ラクでした。は〜良かった!

素晴らしいピアニストの矢田さんと。
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この方のソルフェージュ能力は神業です。その上、音楽的。尊敬します。
そして猿谷紀郎先生と。
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そして翌日もコンサート。現代曲コンサートが終わり、翌朝早いから急いで帰らなきゃ、と想像しただけで楽屋でソワソワする私。結局、コンサート会場には盛大に忘れ物をして帰りました。大小合わせて3点の忘れ物。その内には携帯電話も含まれておりました。なんてバカな私。

そして12時間も経たないうちに超現代曲からバッハまで遡ります。この公演はバッハ協会の定期公演で、私はモーツァルトのグレートミサのソロを歌いました。そしてこちらでも大チョンボ。

終曲近くにある、ソリストによる大きな4重唱、ベネディクトゥスを演奏すると知ったのが二日前。だってー(言い訳始まります。)、マエストロが、ここカットって言ったような気がしたんだもん。もちろんマエストロはそんなことは言ってはいませんでした。別の部分のカットはありましたが。でも言ったような気がしたんだもん。二回目。

『えええーー、ここやるんですか?!』と一瞬暴れたものの、あとはもうさらうしかない。睡眠学習でよーくさらいました。
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もちろん本番は、凄まじい集中力で、なんなくクリア〜。相変わらずの楽天家です。

オケには、他のコンサートでよくご一緒させて頂いている演奏家さんたちが乗っていたので、それも嬉しく、楽屋でもとっても楽しく過ごしました。

このコンサートの翌日は、ナント、人生初の体験が待っていました。『指導者として合唱コンクールに出る!』の巻です。そちらの模様はまた次回。ごきげんよう、さようなら!
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by komaiyuriko | 2014-06-09 00:58