<   2013年 07月 ( 3 )   > この月の画像一覧

神奈川近代文学館で行われている、『中原中也の手紙』というエキスポジションに行って参りました。
d0246243_047756.jpg


日本の詩人では中原中也が断トツ好きです。好き過ぎて、小林秀雄が嫌いになったくらい。

中也の直筆の手紙が102通も展示されているというので、猛ダッシュで行く事にしました。
d0246243_0473874.jpg


d0246243_0473077.jpg


d0246243_0472117.jpg
(近づいてくる興奮をお裾分け)

中也の好きな詩は、「月夜の浜辺」、「サーカス」、「一つのメルヘン」、「春日狂想」、「汚れっちまった悲しみに」、「心象」、「少年時」、「また来ん春…」、「帰郷」、「閑寂」、「夏の日の歌」、「秋の一日」、「いのちの声」、「冬の夜」等々、挙げればキリがない。本当にキリがない。それほど、私には大切な詩人です。

今は大暑。せっかくですので、中也の、昔日の夏の日を歌った詩をご紹介。

少年時

黝(あをぐろ)い石に夏の日が照りつけ、
庭の地面が、朱色に睡つてゐた。

地平の果に蒸気が立つて、
世の亡ぶ、兆(きざし)のやうだつた。

麦田には風が低く打ち、
おぼろで、灰色だつた。
 
翔(と)びゆく雲の落とす影のやうに、
田の面(も)を過ぎる、昔の巨人の姿――

夏の日の午(ひる)過ぎ時刻
誰彼の午睡(ひるね)するとき、
私は野原を走つて行つた……

私は希望を唇に噛みつぶして
私はギロギロする目で諦めてゐた……
噫(ああ)、生きてゐた、私は生きてゐた!


中也展に話は戻りますが、その時代時代に、中也が見て刺激を受けたもの、感じたこと、希望、愛、焦り、失望、絶望といった彼の生の告白が綴られています。手紙の宛先は安原喜弘。中也の文学友達です。彼は中也の激しい気質をいつも慰めるような優しい存在だったのだと感じました。中也は彼の存在を頼りにしていたようにさえ思えます。こういう人が中也のそばにずっといてくれたことを、中也の家族でもない私ではありますが、彼に感謝申し上げます(笑)。

彼の字は、彼のお人柄を伺わせる、丁寧で優しく美しい字です。実はワタクシ、字フェチなのです。字で、人柄を判断する危ない思想の持ち主。中也の字は昔から大好きでした。私の愛読書、「新潮日本文学アルバム」の中也の巻に、小学生の頃に書いた習字などたくさんの直筆の写真が収録されています。その時からなぞっていたくらい好きな字です。

中也はまことに中也らしい字です。この文学館は、常設展も字フェチにはたまらない、大変興味深い代物でいっぱいです。日本の文豪の直筆がずら〜っと並んでいます。三島は、美しすぎる女字だなぁ、フン、とか、大好きな太宰は、意外にもバランスが悪いなぁなど、思うところがたくさんあるのです。

絶対オススメのエクスポジションです。8月4日までです。
一言アドバイス。思ったより、拝観には時間がかかります。余裕を持ってお出かけくださいな。さもないと、閉館時間に追い立てられるように見る事になりますから。私のように(泣)。

近代文学館の目の前には綺麗で小さな広場があります。何て素敵な空間でしょう。忘れかけていたパリのJardin des plantes(植物園)を思い起こさせます。
d0246243_104873.jpg
ベンチに座って本でも読みたい衝動に駆られます。

d0246243_103787.jpg


d0246243_102935.jpg
シロツメクサよ、何と少女時代を想い起させることか!
噫(ああ)、生きてゐた、私は生きてゐた!

広場を抜けると展望台。
d0246243_133953.jpg


そして隣にはバラ園が!これはまるでバガテル公園のよう。
d0246243_151664.jpg


d0246243_145856.jpg
アルブレヒト・デューラーというバラ。同じ茎から違う色のバラが!流石デューラー。

d0246243_144267.jpg
フランスのラヴェンダー

d0246243_142951.jpg
普通のラヴェンダー(笑)。

d0246243_142024.jpg
紫陽花の美しい季節でした。

そして当然、夕食は中華街。もちろん食べ放題。
d0246243_172917.jpg


一緒に行った友人は、食事中に席を立ち、しばらくすると、衣装替えをして再登場しました。なんと、食べ放題に備えて、お腹の締め付けの少ないワンピースを持ってきたのだそう!天晴れ!


*********************************************
             駒井ゆり子 オフィシャルホームページはコチラ
           クルト・パイユホームページ リニューアルオープン! 
[PR]
by komaiyuriko | 2013-07-24 01:13 | 文化・芸術

パリ祭にミサ曲を

フランス革命記念日の7月14日、お世話になっている合唱団『響友会』の定期演奏会がありました。私はそこで歌われるモーツァルトのミサ曲のソリストとして、ご一緒させて頂きました。
d0246243_15391173.jpg


響友会とのお付き合いは、いつからだったでしょうか?まだ私がパリにいて、一時帰国している頃、響友会団員の稲垣さんの歌のレッスンに、団の指揮者、笹崎先生が見学にいらっしゃる、というスゴイことがありました。確かそれからだったと思います。笹崎さんの情熱は凄まじく、私も皆さまのお役に立てることがあればいつでもどこでも馳せ参じたい、という関係になったのでした。そして早4.5年が経ち、またこのような素敵な日を迎えられたのでありましたー。

ここの団員の皆様の仲の良さは稀有です。年齢も様々なのに、まるで昔からの友達のよう。仲間にいれてもらえて、実はとても嬉しいのです。音楽で結ばれ打ち解けた関係は、私の理想とするところ。素晴らしい合唱団です。

もちろん、演奏も立派です。たくさんの曲をそれぞれスタイリッシュに演奏されました。
d0246243_1543648.jpg
混声に始まり、そして女声コーラス。むっずかしい曲によくぞチャレンジした!という感服の演奏。

そして男声コーラスもあります。指揮者は仕掛け人形さんのような、我らが稲垣さん(音楽委員長!)
d0246243_15435841.jpg


そして最後にミサ曲です。ソリストは、さーちゃん、テノールの渡辺大さん、バリトンの坂下君で結成。アンサンブルが多かったので、声質の合った我ら四人はなかなか良かったかも。
出た、自画自賛。
d0246243_1544358.jpg


飲み会にも初めて参加。私はアルコール分解酵素のない人間という理由、そして会場の騒音とタバコの匂いが苦手というトリプル原因により、飲み会にはほとんど参加しません。が、今回は余りに楽しい気分だったので出席させて頂きました。それが楽しかったのなんのって!調子に乗って二次会にまで居座るという快挙(笑)。
d0246243_15445678.jpg
総評をする指揮者の笹崎さん。かっこいいよね~。指揮者にはカリスマ性が大切。

そして音楽委員長の稲垣さん。
d0246243_15454459.jpg
何をしても憎めないキャラです。何も悪いことはしていませんが(笑)。むしろ、非の打ちどころのない仕事ぶり。お疲れ様でした。

今後も共に歩んでいけたらどんなに素敵だろうと思える合唱団です。フランスにとって一大イベントのこの日、私にとっても一大イベントになりました。合唱団の皆様、楽しい一日をどうもありがとうございました!
d0246243_154635100.jpg
カーテンコールでも話をしている私とさーちゃん。

*********************************************
             駒井ゆり子 オフィシャルホームページはコチラ
           クルト・パイユホームページ リニューアルオープン! 
[PR]
by komaiyuriko | 2013-07-19 15:49 | コンサート

親孝行したぜぃ。

その日、サントリーホール大ホールでは、新日フィルの皆様が本番でした。楽団員の方々は、「今日小ホール、何やってるの?!」と、噂していたらしい…。

そうでしょうね。だって、同じ頃、小ホールには華やかすぎる面々がいらっしゃっていたのですもの!

作曲家の三枝成彰さん、服部克久さん、小六禮次郎さん、木下牧子さん、糀場富美子さん、湯浅譲二さん、猿谷紀郎さん、渡辺俊幸さん等々。泣く子も黙る大作曲家の皆様ばかり。そしてコンサートの司会には某テレビ局のアナウンサーさん。これはもう祝典です。祝典序曲です。

日本作編曲家協会主催のコンサート、The Chorus Plusが先日開催されました。私は猿谷紀郎先生の曲を歌わせて頂きました。各作曲家の先生の新作発表会ということで、生まれたての作品が演奏されます。

自分のリハーサル前にホールへ到着し、どんな雰囲気のコンサートなのか、他のチームのリハを拝聴させて頂きました。「これが終わったら楽屋に戻ろう。」と毎回思うのですが、あまりの面白さについつい最後まで見てしまいました。作曲家の先生一人一人のスタイルが全く違い、毎回驚きの連続。そして早くもコーラス、ソリストの方々が熱演を繰り広げていたのでした。

本番は華やかで熱気のある素晴らしいものとなりました。私の出番は二部の最初。楽屋から袖まで猿谷先生とご一緒にエレベーターに乗って参りました。その際に、先生から「会場の温度、3度下げちゃってよ!」と言われました(笑)。大変前衛的な作品ですので、登場からあんまりニコニコしないで演出したろ!と思い、演奏に臨みました。会場は、ピキッと固まっていたように感じました。

終演後、作曲家の原田先生に、「会場の温度、5度下がったよ!」とのお言葉を頂戴いたしました(笑)。

終演後にはレセプションが開かれました。私は作曲家の糀場先生とお話するのを楽しみにしていました。このコンサートに衝撃の作品を発表したその糀場富美子先生。実は、私の高校時代の新曲の先生。リハーサルの時に「こまいーー!」と声がして、思わず抱き合ってしまいました。
d0246243_25656.jpg
レセプションでは先生とゆっくりお話しすることができて感動でした。先生の授業は、“思い出す”なんて作業が必要ないくらい、ぱっとその時のことが目に浮かびます。めっちゃくちゃ楽しい授業でした。あの時の印象とまったく変わらない、優しくて愉快でオチャメな先生でした。見た目はまっったく変わっていませんでした(笑)。もうほぼ四半世紀経つというのに!

先生の曲は、社会に対峙し、我々も考えさせられる部分の多い、それでいて説教臭くなく淡々としていてじーんとする素晴らしい作品でした。作曲家の仕事というのはすごいものだなと感じました。声楽家もいつでも社会に対して敏感でなくてはならない、自分の勉強という範囲にのみかかわっていてはいけないと改めて感じました。

そしてもう一つ嬉しい出会いが!
大学時代、私は世の大学生のようにサークル活動をしていたのですよ。ふふふ。それはウィンドフィルハーモニー(東京音大吹奏楽部)!!私はユーフォニウムを吹いていました。その時の部長さん、クラリネットを吹いていた山下先輩が、なんと超有名作曲家になっていて、このコンサートに曲を提供していたのです。顔を見た途端、「先輩じゃない!?」となり、すると先輩は、「ユーフォの駒井ちゃん!?」となったのでありました(笑)。私のごく僅かな断片をご存知の方で、二人でとても笑えました。

ボーナスフォト。
d0246243_254398.jpg

終演後、作曲家の小六禮次郎先生と、その奥様で、私の母、私の伯父の永遠のアイドル、倍賞千恵子さんと。今日ほど、親孝行出来たと感じたことはありません!母の喜んだことと言ったら。こんな笑顔見たことない(笑)!

そして、もう一、二枚。
d0246243_265951.jpg
これまた両親のアイドル、某テレビ局の人気アナウンサーさんと。朝の連続テレビ小説は岩手県が舞台。私の父は岩手出身だという話を楽屋でしていたので、彼女の方から「お父様にご挨拶しなくっちゃ!」と言って撮ってくださった貴重な写真です(笑)。

d0246243_262884.jpg
ね、私、アナウンサーさんの倍あるね。ほぼじゃなくて、確かに倍あるね。

あー、今日は親孝行したっ!

*********************************************
             駒井ゆり子 オフィシャルホームページはコチラ
           クルト・パイユホームページ リニューアルオープン! 
[PR]
by komaiyuriko | 2013-07-09 02:10 | コンサート