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芸術堪能週間

やって参りました、芸術の秋。
先日子供の頃ぶりに日本の栗を食べたユリです。
栗どらも食べました。(やっぱり食欲の秋じゃん。)

「芸術を堪能しようウィーク」という週を自分勝手に作ってみました。この週は、興味のあったアートを貪る、という大変過激な構想を持った週です。

私のスケジュールはこちら。

①神奈川県立近代美術館 葉山での企画展「古賀春江の全貌」を観る!
②横浜美術館でドガ展を観る!
③去年、手塚治虫文化賞を受賞した丸尾末広氏の「パノラマ島綺譚」を買って読む!
④文化会館でオペラを観る。
⑤オペラの稽古をする(笑)。
⑥コンサートで必要な映像を作る。

一日一つをクリアすれば素晴らしい週になることは間違いありましぇん。
そして見事に予定を敢行した私なのでした。

①「古賀春江の全貌」展
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神奈川県立近代美術館は、私が恋をした絵「窓外の化粧」が常設であるという素晴らしい美術館です。以前にもこのブログで古賀春江を紹介したことがあります。そこで私が欲しいと書いた、「古賀春江詩画集~牛を炊く~」という今や絶版の超希少本を、その年の冬、突如サンタクロースが現れて私に下さいました。
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1ページ1ページを撫でるように捲り、読み耽った本です。この本を読んでからますます古賀熱が増し、そしてこの度の回顧展。「私をどうするつもりっ?!」とソープオペラ入ってしまいそうです。

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美術館は、逗子駅からバスで20分ほどの海沿いにありました。背中は山。旅に来た気分です。
入場者は我ら以外に3、4人見かけました。ま、平日だからねっ。

素晴らしいコレクションでした。というより日本中からよくぞここまで集めてきてくださいました、という感じ。充実した内容で、作品数も豊富、展示も演出も素晴らしかったです。感動的でした。
それにしても古賀さま、時代によって作風が違いすぎです。ピカソの「青の時代」、あるいはユトリロの「白の時代」、いいぇ、そんなものじゃござーません。

水彩画に傾倒してみたり、モジリアーニ、シャガール、ピカソ、ゴーギャン、ルソー、ミロ、ダリなどを思わせる作品を生みだしてみたり、そして最終的に我が子の死を経て、日本のシュールレアリスムの父となるまでの変遷が、明らかにされ楽しめます。皆さん、行った方がいいよ。on y va(オニヴァ)だよ。

ミュージアムショップではもちろん、今回のカタログを買い(これがまた詩画集になってるの!お見事。カラーだし。感激。)、カードを買い、ご満悦というより、熱に浮かされ気味の様子でした。
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この美術館は、その熱を冷ますのに素晴らしい立地条件でした。目の前の海辺まで散策できるのです。こんな風に神秘的な小径を抜けて。
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この小径だけで散文詩がかけそうなくらいです。

すぐに広がる海岸線。
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人っ子一人いない海辺に、ワンコの足跡だけが残っていました。
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②ドガ展を観る!
みなとみらい駅直結の近代的な美術館でした。オルセーのようなルーブルのような建築と空間で素敵でした。
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オルセーで何度も見たドガの作品。また日本で会えるなんてねぇ。そういえば今年はオルセーの子たちとよく会えますね。日本、ラッキーです。ドガの世界を堪能できる上品な演出で、お勧めです。
私が感激したのは、この美術館の常設展。シュールレアリスムの作品が揃っているのです。どびっくり。ダリ、マグリット、デルヴォーらの絵画作品に加えて、彫刻もあります。もう陶酔。この美術館、えらーい!!そして度肝を抜かれたのがマグリットの彫刻。遠くから眺めて、「あれはもしやマダム・レカミエではなかろうか」と思い、恐る恐る近寄り、ルネ・マグリット作「レカミエ夫人」と書かれたプレートを観た時には震えました。
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常に白いローブを身につけ、今は彼女の名から「レカミエ」と呼ばれるカナペ(ソファー)に腰掛ける絶世の美女、レカミエ夫人。そのカナペの上に棺桶となり、それでも白いローブが垂れている、この彫刻を見て、すぐにレカミエ夫人だと気付かせるとは、さすがにマグリットです。どえらい。

③丸尾氏の漫画をゲット
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私の敬愛する漫画家、丸尾末広氏が去年手塚治虫文化賞を獲った作品です。いつもは彼のオリジナルですが(と言っても、ランボーや中也、乱歩、久作、ボードレール、バタイユ、寺山、ジャン・ジュネ、サド、コクトーなどの引用や、それらの作品からのインスピレーションが散りばめられている)、今回は江戸川乱歩の原作に彼が脚色し作画したものです。
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一気に読み終えた途端、もう現実には戻れないかもしれないと思いました(笑)。
嗚呼、日本には江戸川乱歩が、丸尾末広がいて良かった。感謝。
彼の作品はいつも潜在意識や過去のゆがめられた記憶たちが今目の前に広がる、という幻想的な超感覚本です。すごい。すごいよ。みんなon y vaだよ。どこへ?彼方だよ。
あ、怖い(笑)?!

④オペラ鑑賞
まーちゃんとオペラを観に行ってきました。ペルゴレージの「奥様女中」。古楽器とのアンサンブルは楽しく、演出も枠組みはとても興味深かったです。しかし枠組みを整えた上で中身をその色で埋めていくことの難しさを痛感しました。コンセプトとコンテンツの統一と融合をうまく作り上げねば、一瞬一瞬の面白さだけで終わってしまうのではないかと悩めました。

⑤オペラの稽古に励む
夏に上演したモーツァルトのオペラ「バスティアンとバスティエンヌ」の再演が再来週、市ヶ谷であり、その稽古をまたもや合宿並みに短期決戦でやっております。
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最初に音楽稽古をした時の感想は、「やっぱりこれっていい音楽だよね。」「感動ポイントが数か所あって、まだ稽古だから泣いちゃうね。」などでした。再演とは思えないウブな感想でしょ(笑)。
大道具も愛知県からやって参ります。皆様、好ご期待ください。チケットは若干、数十枚はありますからね(笑)。

⑥映像を作る!
このコンサート、1部はのぞちゃんがヴォルフの「イタリア歌曲集」を、私がメシアンの「ミのための詩」を歌います。のぞちゃんは歌詞対訳をスクリーンに映し出しますが、私のメシアンは、訳を出したところでお客様もチンプンカンプンだと思い、私が音楽と詩からイメージする画像を作り、そこに歌詞の印象的なフレーズを挿入してみました。私がいつもメシアンを歌う時に見えるような画像はもちろんありませんが、それに近い材料を集め、加工して、今はとても近いものが出来上がったと思います。チラ見どーぞー。
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そんなわけで楽しいSemaine de l’art(芸術週間)でした。

最後にたった今私の心を捉えた、日常に潜む芸術品を一つご紹介。
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「お月さん、なに食ってんのかな」だよ!びっくり。
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by komaiyuriko | 2010-10-25 02:07 | 文化・芸術

Les niuts heureuses

去年の10月16日、それは椎間板ヘルニアの手術の日でした。
今年は元気だなぁ、とあきれるばかりのユリです。

実はこの日、私の誕生日でもあるのです。また幼稚なことこの上ない私に時だけが通り過ぎていきます。

去年は麻酔が解けたか解けないかのうちにクルト・パイユがかけつけてくれました。まーとさーちゃんがわいわい病室に入って来たのをよーく覚えています。

あの時も入れ替わり立ち替わり、友達が病室を訪ねてきてくれました。楽しかった思い出しかない入院生活でした。そして今年も前々夜祭、前夜祭、当日と面白おかしく過ごさせていただきました。

ある日の夜は、パリで一緒だったキャリアウーマンゆきちゃんとクルト・パイユが我が家に集まってくれました。ここはパリか、と錯覚するほどの数年前と変わらぬ楽しい時間を過ごしました。そして素敵なアロマランプを頂きました。
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点灯式の模様。
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壁にこのランプの模様が映り、部屋は一気に幻想的になります。

おしゃべりに夢中になりすぎて、せっかくみんなで集まったのに写真を撮るのを忘れました。残念。ま、またすぐ会えるね。

またある日は、今は東京にいない友達から涙なくしては読み終えられない感動的なメールを頂きました。メールを下さった皆様、ありがとうございます。今時のメールはかわいいねぇ。そして夜はお世話になっているお友達と食事。お誕生日効果でご馳走していただきました。ホント、スミマセン!興味深いお話で時間があっという間でした。

そしてまたある日の夜は、「新宿三丁目モンマルトル」で主催をしたお友達のお店へ出かけました。友達と待ち合わせがあったのです。さーちゃんも一緒に来てくれました。会いたいなと思っていた友達も偶然来店してくれて、大喜びの私。大分(私にしては)飲んで、いい調子になった時にお店の音楽が変わり、なんと私のためにサプライズパーティーをしてくれました!嬉しいやら恥ずかしいやら。お友達を集めてくれていたのね(汗)。皆様からたくさんのプレゼントやたくさんの野次なぞを頂き、さらに来られなかった友達からは、お店に電報が届いていたり(いいともか!とか言いながら)、素敵な夜を過ごしました。
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酔っているからブッレブレ(笑)。
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お店に届いた電報。大好きなゴッホでした。

なんて優しい、なんて楽しい、なんておバカな人たちに囲まれて私は生きているのだろうか!と感動した連夜でした。

今年も良い1年を送ることができそうです。

とにかく健康が一番(笑)。
季節の変わり目ですので、どうぞ皆様もご自愛ください。では~!
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by komaiyuriko | 2010-10-19 23:33 | 徒然なるままに

姿を見せずに薫ってくる金木犀の季節がやってきました。
こんばんは、ユリです。風の見えるこの時期は私の一番好きな季節。

そんな今週9日(土)に、表参道カワイコンサートサロンパウゼで「立原道造の詩による歌曲集」のコンサートがあります。作曲家の加藤邦宏さんの作品コンサートです。

加藤さんの歌曲集「優しき歌」は、立原道造の白鳥の歌である詩集「優しき歌Ⅱ」全てと、さらに「暁と夕の詩」、「ソネット集」から2篇を抜粋し追加した、全13曲から出来ています。編成はソプラノ+7重奏の超豪華版。今回、そのソプラノを歌わせて頂きます。感覚としては、ほとんど室内オケです!
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夏のある日、立原道造記念館を訪れました。
あの日から、私は道造の繊細ではかなげな言葉にとらわれていました。そしてその時代の同じような境遇の他の詩人や作家の作品も思いつくままに読みました。共通して流れているのは(愛する人や試作に対する)真摯な愛、美しい愛といったところでしょうか。-何を読んだと書いていないので頷けないでしょうが(笑)-その時代の言葉遣いや社会と個人の関係、家族関係などの風潮ももちろん影響しているのでしょうけれど、やっぱり現代に失われつつある「純粋さ」というものを感じずにはいられません。

「ピュレテ(純粋さ)」が今回の私のテーマです(笑)。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私のヴェルレーヌ(!)も同じく「優しき歌」という詩集を書き、フォレが歌曲集を作曲しています。

ヴェルレーヌが彼の妻となるマチルドに宛てた恋文詩集「優しき歌」。それは天才詩人ランボーの出現によって、あたかも一時的な優しさ(愛情)に過ぎなかったかのように映ってしまいますが、その易しい詩に込められた優しさは、いつの時代も色褪せることなく今も輝きを放っています。そしてフォレもまた、愛する人への情熱をヴェルレーヌの言葉を借りて素晴らしい音楽を作りました。

道造は、これら2人の「優しき歌」を知っていたようです。そしてその反語として自分の「優しき歌」を作ったようです。


さえぎるもののない 光りの中で
おまへは 僕は生きてゐる
ここがすべてだ!…僕らのせまい身のまはりに


立原道造「優しき歌」より “また昼に”(抜粋)


突然ですが、思い出しクルトパ小話を一つ。
大学院生の頃、まだあまり親しくなかったまーちゃんが、修士で柴田南雄の歌曲集「優しき歌」を演奏することに決まったらしく、院生控室と呼ばれる勉強部屋にいた私のところへやってきました。そしてその頃は大変真面目だった私にこう言ったのです。

「フランスものに「優しき歌」というのがあるらしいのですが、それについて何か教えてくださーい!」

『……。なんて自由な人なんだ。』
と思ったのが忘れられません(笑)。
自分で調べる前に人に聞く自由さ!そしてその大雑把な質問。

確か控室のニューグローブ(音楽辞典)を出しながら、ヴェルレーヌとフォレの話をしたはずです。あの光景を今も昨日のことのように思い出します。もう今は昔の話。

10月9日(土)19時開演
カワイコンサートサロン パウゼ
加藤邦宏作品発表
「立原道造による歌曲集~優しき歌~」
前売:2000円 当日:2500円

チケット僅少のようです。
美しい詩と精神の純粋さを求めに是非いらして下さい!

私の内にある、人には見えづらい“純粋”さを最大限、誠実に表現したいと思います(笑)。

では~!
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by komaiyuriko | 2010-10-07 22:03 | コンサート