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こんにちは、ユリです。
先日は麻理ちゃんのリサイタル、楽しかったですね~。
オシャレなのに暖かいコンサートでした。ホールもステージ上も客席も一体感があって、とても和やかで愛に溢れた空間でした。なんだか大げさな表現ですけれど、本当にそんな感じがしました。

二期会研修所時代、私は渋谷のダイニング・バー『チェルシーカフェ』でバイトをしていました。今回ソムリエ・デュ・コンセールをしてくれたタカシ君も一緒に働いていました。麻理ちゃんもほんの一時期、ほとんど邪魔をするような仕事ぶりで手伝ってくれたこともありました。そこは美味しいお料理とお酒、そして美味しい音楽を提供するお店で、毎日ライブ演奏があり、さらに1年に1度、チェルシーコンサートと称したエンターテイメントコンサートを行っていました。今回はその時の仲間がほぼ勢ぞろいしてくれました。

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当日会場で。

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麻理ちゃんとタカシ君と。

私は当日裏方全般をさせていただきました。照明、舞台転換、カゲアナ、タイムキーパー、カゲ朗読…。アタシ、どんどん舞台制作の力を実践として身につけてきている!と実感し、とても充実した気分でした。でた、自画自賛。

というのも、クルト・パイユは最近までどんなコンサートでもいつも自分たちでやりくりしてきていました。印刷物デザイン、印刷、照明プラン、演出プラン、台本制作、演出、照明、転換、キャストスケジュール管理、稽古プラン、カゲアナ等々。今からほぼ10年前、私と麻理ちゃんは舞台制作の仕事をしていました。あの時の経験がこんなにも役に立つ日がくるとは、これっぽっちも思ったことはありませんでした。ものすごく大変な修行のような日々で、あの時分は毎日埃だらけ、心も体も傷だらけのボロ雑巾のような私でした(笑)。まさに修行僧。それが今こうして実を結んでいると思うと、無駄なことはないのだなとしみじみ思います。

私たちが舞台に立つとき、私たちはそれを支えて下さっている方々の大きな力を感じずにはいられません。先日の北原白秋コンサートの時も然り。というわけで、制作の方と共演者、そして会場にいらして下さったお客様に感謝の気持ちを込めてコンサートのご報告をいたします。

今回は北原白秋の歌、断章(詩と歌の間のようなスタイルを持つ作品)に作曲家の加藤邦宏さんが音楽をつけた歌曲と、同じく白秋の“ヒヤシンス薄紫に咲きにけり”からインスピレーションを受けた作品であるピアノカルテットのコンサートでした。

白秋の青春時代から「桐の花事件」と呼ばれる姦通事件直後までの作品を彼の人生と共に歩むコンサートでした。コンセプトがとても興味深く、また解説付きのコンサートだったのでお客さまも白秋に感情移入することが容易にできたのではないかと思います。

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ピアニストは鳥羽亜矢子さん。

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ピアノカルテット。皆さん個性的で素敵な方々でした。何より面白かった!

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アンコールにピアノカルテットと共に歌わせて頂きました。やっぱり室内楽が好きだなーと実感しているところ。

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作曲家の加藤邦宏さん。素敵なおじさまでしょ?いっつも綺麗な格好をしていて、穏やかで微笑みを絶やさない方です。

終演後に記念撮影(笑)。
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左から、双子の姉、私、ウィーン在住ののぞちゃん(クルトパ日記出場率高し!)、前日にリサイタルを終えたばかりの麻理ちゃん、クルトパ専属クラリネッティストたっちゃん。クルトパまいちゃんも会場に来てくれていたのですが、当日マチネ本番があり、それを終えて私のコンサートに来てくれたので、疲れ果てて帰ってしまいました(笑)。←笑いごとじゃない。まいちゃんも疲れてるのにありがとうねー。

やっぱり歌曲はいいですねぇ。日本歌曲、フランス歌曲、ドイツリート。私の好きなものです。
サウンド・オヴ・ミュージック風。



※もののあわれ・・・自然・人生・芸術などに触発されて生ずる情趣。
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by komaiyuriko | 2009-09-28 23:03 | コンサート

こんにちは、ユリです。
過ごしやすい爽やかな日が続いています。
こんな気候の時にはコンサートに出かけるのが一番(笑)!

今日はその大連休の最後の2日を飾るコンサートをご紹介いたします。

まず22日(火・祝)のこの日は、≪フランス音楽を聴きに行こう!≫というコンサートシリーズの第1回目が始まる記念すべき日です。第1回ゲストはクルト・パイユ麻理ちゃん。彼女の最も得意とするプーランクを存分に楽しんで頂けます。プーランクに影響を与えた2人の女性に焦点を当てたお芝居仕立てコンサート。ソムリエ・デュ・コンセールの磯田高史さんが、このコンサートにぴったりなワインも紹介します。ホワイエではそのワインの試飲・販売もありますよ!

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22日(火・祝)19時開演 ティアラ江東小ホール
コンサートの詳しい内容や稽古風景は麻理ちゃんからの日記を待ちましょう♪


さて、続く23日(水・祝)は、北原白秋の短歌、断章による日本歌曲コンサートがあります。
場所は代々木上原にありますムジカーザ。19時開演で私、ユリが歌わせて頂きます。

北原白秋の世に言う「桐の花事件」までの作品を集めたコンサートになります。「桐の花事件」とは、白秋が隣家の人妻、松下俊子と不倫関係に陥り、俊子の夫に姦通罪で訴えられ、捕えられた事件です。さすが芸術家、色っぽい事件を起こしていますね(笑)。100年前の日本は不倫で投獄される時代だったのですね。今もこの姦通罪があれば、日本中の刑務所が満員になってしまいますね、きっと。ははは。

基本的にはピアノと歌のデュオですが、弦楽四重奏との演奏もありますので是非いらしてくださいな。
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以上ご紹介したコンサートは祝日の夜ですので、お昼ごろからお出かけし、お散歩やお買い物、美術館や映画などをお楽しみ頂き、休憩にアフタヌーンティでもしてからコンサートにいらして頂ければ、素敵な一日になること請け合い!

芸術の秋、コンサート三昧するのもまた一興。みなさまのお越しを心よりお待ち申し上げております!

2つのコンサートにご興味のある方はこちらまでご連絡くださいましm(_ _)m

musique.alaise@gmail.com

では~!
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by komaiyuriko | 2009-09-15 12:36 | 徒然なるままに

松本とおばちゃん

ま、そんなこんなで松本で暮らしている間、とても印象に残る心の交流がありました。

私は毎日ホテルから自転車で、川沿いになだらかな坂道を20分かけてのぼり、稽古場へと向かっていました。日差しは厳しく、稽古場に着くと滝のような汗がとめどなく流れます。そこで、稽古場からさらに自転車で10分弱の浅間温泉に稽古前に行くことにしていました。汗をかき、それを温泉で流し、極楽じゃー!となったところで稽古に行く、という生活。「アタシ、ボニデ(フランス語でグッド・アイディアという意。)じゃない?!」と自画自賛の毎日でした。

そんなある日、稽古は18時からだというのに私は14時にはもうすでに温泉につかっていました。お恥ずかしい。そこは初めて行った場所で、温泉と言うよりは温泉風スーパー銭湯のようなところでした。充実した休憩室があるので長い空き時間をそこで過ごそうと入湯したのでした。

例えばマッサージ屋さんに入った途端に眠れてしまうような思い込みの激しい私は、その温泉でさえ「あ~、なんだかお肌がツルツルするなぁ。」なんて感じていました。たまたま私のとなりに入って来たおばちゃんが私に「気持ちいいね。」と話しかけてきました。ついつい調子に乗って「本当ですね。やっぱり温泉は肌もツルツルするし、疲れもとれるでしょうね。」と言いました。するとおばちゃん、「は?!こんなの温泉って言っても90%はただのお湯だよ!循環しているし、殺菌のためにお薬がすごく入っている!」と言い、松本の人でも契約していて鍵がなければ入れない源泉100%の温泉があるからそこへ連れて行ってあげる!という話にまでなりました。私はそのままそのスーパー銭湯から出され、おばちゃんの車でその源泉に連れていかれました(笑)。

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これがその温泉。秘湯と言った感じの入口(爆)。

源泉100%のお湯はさすがに先ほどのお湯とは全く違いました。トロトロとしていてまるで化粧水(しっとり)のようです。しかも48度はあるんじゃないの?!というほど熱いのです。おばちゃんに従ってアチチと騒ぎながらもお湯に30秒位つかり、慌てて出てはおばちゃんと語り合うこと約1時間。外からは蝉の声しか聞こえず、内側は源泉が流れる音のみ。「静かだねー、ものを想うにはとてもいいね。」とおばちゃんが言いました。

その秘湯を出てからもまだ時間があったので稽古前の私に腹ごしらえをさせようと、おばちゃんが自分のおうちへ連れて行ってくれました。おばちゃんは家が近いからといいましたが、実際には山を一つ越えました(笑)。この位は近いと言うのか、などと考えながら美しい風景を眺めていました。

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到着するや否や、自分の畑のトマトをもぎってその場で食べさせてくれました。
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甘くて味が濃くておいしいこと!

お土産に、と大きく成長したトマトを4,5個私にくれました。
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おばちゃんの畑の目の前はこんな風景。風に揺れる黄緑色が波のように見えます。
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今度は冷えたスイカを持って来て一気にジューサーにかけ、スイカ100%ジュースを作って飲ませてくれました。忘れられない美味しさでした。
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あー、最高だねーと笑い合いながら時計を見るとまだ少々時間があります。そこでおばちゃんは松本にも綺麗なところが沢山あるんだよと言って、またドライブに連れて行ってくれました。

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美鈴湖です。穏やかで美しい場所でした。釣り人が数人いました。

さて、稽古に遅れてはいけないと、最初に出会ったスーパー銭湯まで送ってくれました。するとその前の広場で市場が開かれていました。おばちゃんは桃とおやきを大量に買って、私に持たせてくれました。なんだか心苦しく、それでも有難く頂戴し、稽古場へと向かいました。

楽屋では「駒井さん、市場でも始めたんですか(笑)?!」と言われるほど私のテーブルは賑わっていました。

その夜、私はこんなに親切にしていただいたおばちゃんのお名前も連絡先も伺っていないことに気づき、激しく後悔しました。そこでおばちゃんが毎日源泉に通っていること、温泉契約している人たちは自分の行く時間がだいたい決まっていることなど、おばちゃんが昨日話していたこと思い出し、よし、明日からおばちゃんが源泉にくるのを張っていよう!と決めたのでした(笑)。暇だね~。

早速次の日、昨日おばちゃんと出会った時間辺りから稽古の時間までその秘湯の前で待ち伏せていました。その辺りは温泉地と言っても観光客が来るような場所ではない奥地なので、通り過ぎる街の人々が私をはばかりもなく怪しげな視線で見ていました。そういう目で見られるとついついこちらも不審な行動をとってしまう気弱な私(汗)。

待ち伏せを思いついて1日目で会えるとは到底思っていなかったので、そろそろ稽古にいかなくては、と自転車に手をかけた時、なんと昨日の車がやって来たのでした!!私はうれしくて手を振りました。急いでお名前と住所を伺い、稽古場へと喜び勇んで移動しました。

その日の稽古でGP券が配られました。毎年私は父のためにそれをもらいます。今年はなんと数枚余ったというので一枚頂戴し、それをおばちゃんに送りました。郵便がちゃんと翌日届くか分からないし、おばちゃんに予定があるかもしれない、だから来られなくても全然かまわないからね、と書いて投函しました。迎えたGPの日、おばちゃんは来てくれました。感動的なお手紙と共に手作りのプレゼントを持って。公演終了後も客席で待っていてくれたので、退場がてらそちらに行くと、「手紙をもらってうれしかった。本当に感激した、ありがとう。」とだけ言って大きく手を振って帰って行かれました。

世の中には本当に優しい人がいるものだなとつくづく思いました。素直でいつづけることは難しいことだと感じてしまう昨今ですが、この人はずいぶん長い間、素直に、人に優しく、正直に生き続けてきたのだろうなと感じました。その偉業はそれだけで人の心をタッチするのだなと痛感しました。
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by komaiyuriko | 2009-09-03 22:36 | 徒然なるままに

戦争レクイエム

こんには、ユリです。もうすっかり朝夕は涼しく秋っぽくなってきましたね。
台風の最中に毎年恒例のサイトウキネン・フェスティヴァル松本から東京に帰ってまいりました。空港でよく見かける、いかにもリゾート地から帰ってきましたが、到着した場所はもう季節が次に移り変わっていて、すっかり自分だけが浮いているといった服装で新宿駅に降り立ちました。寒いっつーの。

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さて、今年の松本での演目はブリテンの『戦争レクイエム』でした。私は今、椎間板ヘルニアの治療中で7月中旬から下旬にかけては歩くどころか立ち上がれない状況でした。このままだと今年の松本は多大な迷惑をかけることになるなと不安と恐怖で一杯でした。だったらキャンセルすればよいのに(するなら早いうちに主催に伝えなければならない!)、私はキャンセルする気持ちはさらさらありませんでした。何故なら今年の演目が『戦争レクイエム』だったから。この曲は激しい衝撃を持って世界に、また平和ボケした日本に発信しなければならないと強く感じていたからです。

それにしてもこの曲、まず企画、構成そして編成に頭が下がります。全く脱帽です。どうして今までこの天才的な構成に誰もが気づかず、至らなかったのかしら?と不思議に思うほど。まさにコロンブスの卵です。そしていかにもブリテンらしい音楽で、聴衆を激しく揺さぶり、衝撃を与え、これ以上ない甘さと慰めをもって通り抜け、最後のドラマティックな展開に向かい、嗚咽をあげて涙を流すことを禁じえないクライマックスへと進みます。

このような世の中に警鐘をならす偉大な作品はもっともっと演奏されるべきなのです。一年に一度といわず、毎月どこででも演奏すればいいのです。

が!
なんとこの曲、猛烈に難しいのです…。そんなにいつでもどこでも誰とでも演奏できるレヴェルの曲ではないのです、残念ながら。オーケストラも激難しい。楽器もなかなか揃えるのが難しいらしい(特に打楽器)。室内オーケストラというソリスト軍団もフルオケの他に必要。もちろん超難題の目白押し。歌手のソリストはそれぞれのカラーを持った人を集めるのは難しい。そして合唱は、よくアマチュアの人たちが混ざって歌えたなぁと感心するほど大変な曲です。あ!子供の合唱も猛烈に難しいの。

嗚呼ブリテンよ、なぜこんなにも意義のある素晴らしく感動的な曲をこんなに難しく書いてしまったのですか?

ブリテン自ら指揮をした録音があります。それに稽古中の模様が録音されています。その中で、ブリテンが自分で書いた曲なのに「難しいなぁ。」とボヤき、ソプラノのソリストが「そんなこと言うならなんでアナタ、こんなに難しく書いちゃったのよ?!」と突っ込むシーンがあります。それに対してブリテンは「だって、自分が指揮することになるとは思ってもみなかったんだもん。」と言っています(笑)。そうね、何よりも指揮が難しいわね。。。さすが世界の小澤です。暗譜で振って、キューを出しまくっていました。あのお歳でこの大曲を暗譜で振る知力と体力と精神力を持った指揮者を見ると、自分はなんて不勉強なのだと落ち込むほどです。

この意義深い曲を演目に選び、当然素晴らしい演奏で終えてみせた今回のフェスティヴァルに参加出来て本当に良かったと心から思いました。腰のヘルニア君もブリテンや詩人のオーウェン、そして演奏家の大きなパワーに圧倒され、静かにしている他ありませんでした。

どうかこの世の中から戦争がなくなりますように。
空々しくあり得ないことのように感じてしまうのは残念なことです。

戦争という莫大で抽象的な言葉が私たちを鈍感にさせているのではないかと思えてなりません。数えきれない程の人が死んでいき、それぞれにそれぞれの人生があり、それぞれの家族があり、どうして自分が死んでいったのかも分からず、どうして自害しなければいけないのかも明確に把握も出来ず、どうして人を殺さなければならなかったのか理解できず、それでも殺し、死んでいかなければならなかった一人一人のドラマが無数にあったはず。“戦争”はこんなにも抽象的な悪の象徴ではなく、もっと具体的でもっともっと悲惨な言葉のはずです。口にするのも恐ろしいような残酷な言葉のはずです。世界中の戦没者たちとその家族や恋人は無念至極だったことでしょう。

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               “私の主題は戦争であり、戦争の悲しみである。
                      詩はその悲しみの中にある。
               詩人のなしうる全てとは警告を与えることにある。”
                          オーウェン 
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by komaiyuriko | 2009-09-01 01:51 | コンサート