Paul et...

学生時代、私を夢中にさせた詩人がいました。それはポール・ヴェルレーヌ。彼は自らのことを「土星人」と呼び(不幸な星のもとに生まれたという意味。のび太の常套句(笑)。)、繊細すぎる自分を呪っていました。しかしそれが詩人には絶対的に必要だとも分かっていて、そんな自分は生きるも死ぬも不幸せ、と語っています。

私もまた若かりし頃、自分をそんな風に感じていました。どうして今はこんななっちゃったんだろ(笑)。日々、誰も気に留めないような些細な事柄が身の周りに起こる度、ヴェルレーヌ詩集を必死にめくり、その時の自分を慰めてくれる詩を探したものです。

そんなわけで今でもヴェルレーヌは私の心の友であり、本当の友達だったら困る男なのです。

2009年に、ヴェルレーヌの試作をめぐる旅と題した舞台の台本を書き、サントリーホールでクルト・パイユとテノール歌手、俳優さん、ダンサー2人が必要な、自分的には大スペクタクルを上演しました。お客様への歴史的背景や人物相関、作風などのなんのガイドもなく、字幕もなく、自分だけが満足する舞台を作り上げました(笑)。その時のお客様の巨大なはてなマークと言ったら(汗)!

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あれから7年が経ち、ピアニストの市川さんからヴェルレーヌの歌芝居をやりたいとお話しを頂き、喜んでご一緒させて頂くことにしました。だってランボー役だって言うんだもん!大好きなランボー(シルベスタ・スタローンではない)。しかもヴェルレーヌは根岸さん、マチルドは森さんって言うじゃない!ピッタリ(笑)←失礼でもある。

とにかく準備は大変でしたが、今回は4人の力を合わせて(4人寄れば文殊の知恵で、選曲、台本から演出、舞台装置、照明まで、全てを手分けして、うまいこと適材適所出来たわけでした。)、お客様を置き去りにすることなく、ヴェルレーヌの素晴しさと脆さ、ランボーの天才っぷりと豪胆さ、そしてマチルドのおかげで生まれた珠玉の作品などなど余すところなく舞台化できたと思います。

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①舞台上にスクリーンを置き、こんな風にエピソードの題目も出したり、
②曲目や
③字幕もだして、
④たまに必要な知識も挟み込み、お客様へのガイドをつけました。ここ、大切(笑)。

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今回は劇中劇で雅なる宴のシーンがありました。雅なる宴関連の歌曲は山ほどありますから、素晴らしい曲を歌うことができて最高でした。

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マチルドとの束の間の幸せな時間

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ランボー現る

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酒と男色にまみれてついに

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発砲事件

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絶望するヴェルレーヌ

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そんなヴェルレーヌを捨てるマチルドとランボー

専門家の先生方にもお褒めの言葉を頂き、さらにヴェルレーヌのことをよく知らない方にも興味が出たやら、楽しかったやら、ヴェルレーヌやランボーの詩を読んでみたい等々のご感想を頂戴しました。
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森さんの師匠で二期会フランス歌曲研究会でお世話になっている後藤寿子先生と。厳しい先生ですからお会いする時はピリッとしますが、とても喜んで頂き、4人でホッとしました!

文学や音楽は人生を彩ってくれるどころか、窮地に立たされた際、命をも救ってくれるのです!これからも芸術に助けられてよちよち生きていきたいと思います。ご静聴ありがとうございました(笑)。
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終演後、ピアノと主催の市川さん、そしてフルーティストの坪井さんと。

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by komaiyuriko | 2016-09-26 17:40