20世紀のフランス音楽
2014年 05月 01日私のご尊敬申し上げる、フランス音楽&美術の生き字引でピアニストの鶴園紫磯子先生と、そのお仲間の先生方とのコンサート。ヴァイオリンの七島晶子先生、ピアニストのジャック・ゴーティエ氏、そして今年のゲストソリストは、クラリネット界のプリンス、フローラン・エオ氏です。
このコンサートは、20世紀のフランス音楽シリーズで、今回のタイトルは『1910年代、大戦期を生きた音楽家たち〜ストラヴィンスキー、プーランク、オーリック』。タイトルを見ただけで心も身体も震えます!
私はストラヴィンスキーの『3つの日本の叙情詩』、『兵士の物語』室内楽版の語り、そしてプーランクの『レオカディア』室内楽版で「愛の小径」を演奏させて頂きました。
フランスにいる時から、ストラヴィンスキーの日本の叙情詩を勉強したいと思っていました。でもなかなか手が出なかったのですよ。だってロシア語なんだもーん。フランス語で歌うこともしばしばのこの曲ですが、今回はストラヴィンスキーが頭の中で思い描いて曲をつけた、オリジナルの原語でやろう!ということになり、ロシア語版に決定。ロシア語のエキスパートの方3名に(分からない言語過ぎてソースは多い方が良いと考えました!)読みや意味を教えて頂き、ロシア人の方に詩を朗読して頂いた録音を聞きまくり、ようやく、歌えるかも♥️という淡い期待が楽譜から漂ってきたのが3月頃。遅っ。
鶴園先生は、フランス語で演奏した時の響きと全く違うとおっしゃっていました。聞こえてくる言葉によって印象は変わるものです。ストラヴィンスキーの頭の中に響いていた言葉と音楽は、訳詞ものとはやはり違うものでした。新しい発見。そしてもう一つの新発見。ストラヴィンスキーの無伴奏クラリネットの小品が、この曲ととてもリンクしているということ。今回はエオ氏が一曲ずつ交互に演奏しよう、と提案をしてくださり、そのように演奏。その効果たるや、絶大でした。
そして『兵士の物語』。普通、室内楽版の場合は語りをつけません。ですから台本がないのです。今回、オケ版の楽譜にある登場人物四人版台本から、室内楽用一人語り版を作成しました。これは大プロジェクトだぞ〜と武者震いしていた私は、お正月から準備を開始。夏休みの宿題を8月31日の夜に泣きながらやった子とは思えません!
いらして頂いたお客様からは、語りが良かった、語りが良かったと言われ、なんだか自由研究で賞をとったような、そんな嬉し恥ずかしな気持ちでした(笑)。
レオカディアは、不勉強ながら今回初めて聴きました。楽譜は出版されていないとのこと。これも先生方が譜面作りから大変ご苦労されたと思います。でもちょっとしたセリフがあり、とっても楽しめました。劇音楽に相応しく、聴きやすく感情を煽るような素敵なメロディがたくさんありました。そして愛の小径を楽器伴奏で歌う幸せ。存分に楽しみました。
前日の練習では、エオさんを中心に、大先生方がふざけあい、笑いの絶えない稽古場でした。やっぱりこの方たちも楽しくて楽しくて音楽をしているんだなーと感じました。嬉しくて、涙が出そうでした。
音楽をするということの真髄を、また改めて感じた、有難い本番となりました。音楽をしたいからやってるの、音楽をせずにはいられないから勉強するの、といった情熱の原動力を、懐かしさと共に思い出しました。
偉大でユーモアのある、素晴らしい共演者である音楽家の方に心から感謝いたします。ありがとうございました!