忍法、マレットくわえ叩き弾き
2013年 06月 15日楽譜が送られてくるまでの、ソワソワ、ドキドキのあの感じ。嫌ですね〜(笑)。だって楽譜がまず楽譜なのか(図形のようなものもあるし、黒い線の集合体のことだってある)など、恐ろしい妄想に取り憑かれ放題なのですもの。楽譜が手元に届くまで安心できません。届いてから泣く場合もあるしねー。何度も言うけど、パリ時代の現代音楽コンサートでは、楽譜を受け取った途端、唇に吹出物が出ましたから!ストレスの瞬発力ってスゴイよ。
今回、郵便ポストに届いた猿谷先生からの封筒を、野獣が肉でもむしゃぶりつくように開封しました。ざざっと楽譜を見て、“去年より大丈夫そう♥”と安心しました。もちろん、えっらい大変な曲なのですが、去年の作品を受け取った時は、その手が微かに震えていましたから、それに比べれば余裕です(笑)。
でもピアノ譜を見て、ふふふ、と低い笑い声が漏れてしまいました。去年の数倍、ピアノパートが大変なことになっているのです。だって二段譜。一段目はピアノ譜、二段目は内部奏法譜でした(爆)。やるなー、先生!ピアニストさん、おっこるだろうなー(嬉々)。
一回目の合わせ、やっぱりまず通してみようということで、思い切ってやってみました。終わった瞬間、3秒沈黙、そして爆笑でした。何がおかしいのか分からないけど爆笑。
今回も、二回目の合わせには、猿谷先生にいらして頂き、直接ご指導を請うことに。ピアニストの矢田さんと先生のやり取りは、漫才のようで笑えます。宮川大助・花子的な、圧倒的な女性優位。
そんな楽しいリハーサルを経て、本番に臨みました。本番は、会の代表である池辺晋一郎先生や、服部克久先生もいらっしゃり、自ら演奏されたりと、とても華やかで賑わっていました。
さ、私たちの本番です。
ピアニストさんは、今回、この曲の演奏に当たって、忍術としか思えない技を使います。
それは……、≪忍法、マレットくわえ叩き弾き≫です。
マレットをすぐに手に取り、内部奏法をしなければいけないため、一旦マレットを置いて、なんて悠長なことをしている暇はないのです。この時はおっそろしく難しい(というか弾けるわけないじゃん的な、超絶技巧を)弾いているところ。
多分、演奏中、だーれも私のこと見てなかったと思う(笑)。ピアニストさんに釘付け。私が見たいくらいだもん。確かに、今回も会場がピリッと張り詰めていました。私は、客席を良く見るタイプなのですが、私たちが演奏を始める瞬間に、横に置いたバッグから荷物を取ろうとしたおじさまが、そのままの格好でフリーズし、曲が終わるまで、右手を左脇のバックに突っこんだまま、おんなじ格好でいたのを私は見逃しませんでした。
今回も私なりに曲を解釈し、この素晴らしい作品に触れられたこと、演奏できた事を幸せに思いました。
やっぱり私は現代音楽が好きなんだなー。イマジネーションがドンドン膨らむし、何しろカッコいい。私の感覚と思考には、二つのまったく別のタイプが同居しています。一つは、ものすごくリリックなもの。そう、実は私、ロマンティックな子なの。あ、「ロマンチストの豚」っていう歌ありますね。誰が豚やねん(怒)!そしてもう一つは、ものすごくシュールレアリスティックなもの。頭の中で起こる、その断片的で色彩的で奇妙な形や音の感覚は、まさに現代音楽にフィットします。だから好きなのねー。
記念撮影。
前回同様、一風変わったコンサートが大好きな、面白がり屋さんの両親と牧菜さん、そしてピアニストの矢田さんをお迎えして、イタリアンで打ち上げ。矢田さんの発言に笑い転げる私たちなのでありました。
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