ア~ル・デコ コンサート
2011年 01月 31日ある美術館での出来事。コンサートをすることになった美術館で、そのコンサートの打ち合わせのためにマネージャーさんとコーディネーターさんと待ち合わせをしたことがありました。普段はこだわりのジャージ&ジーパン姿(ソプラノにあるまじき?!)ですが、仕事ですから一応ジャケット着用で参りました。しかし何か怪しい雰囲気でも感じられたのでしょうか?最初の入口で警備員さんにブロックされてしまいました。「担当の方と待ち合わせをしている」「美術館の招待状も持っている」等申し上げても入れてもらえず、半ば強行突破で入りました。後ろでは警備員さんが「白いバッグをもった女性がそちらへ向かいました!」と連絡をとっている声が聞こえます。先に進むとあちらから新しい警備員さんが走ってやってきました。すると、入口で待っていてくださったお二人が手を振ってくれ、私はようやく入館することができました。
私、そんなに怪しいかねぇ?!
さて先日、そんなガードのしっかりしている東京都庭園美術館でコンサートをさせて頂きました(笑)。しかもコンセプトが私を喜ばせます。旧朝香宮様邸の建物であるこの美術館の建築、装飾は、パリ発信でヨーロッパ中を1930年代に一世を風靡したアール・デコ様式なのです。そこの入口広間でのコンサートで、その時代のフランス音楽をプログラミングしてほしいというコンサートだったのです。
今回は、コンサートと学芸員さんによるエクスポジションの解説付きというセットコースで、「庭園美術館友の会」の方のみが入場できるプライヴェートコンサートでもありました。閉館中に美術館に入れるだけでワクワクしてしまう私。ちなみにエクスポジションタイトルは「朝香宮のグランドツアー」です。私が拝見させていただいて一番浮き立ったのは、1925年のアール・デコ博と呼ばれた、伝説のパリ万博のカードが揃っていたことです。文章でしか読んだことのない、パリの街並みをどう改造して会場にしたのかといった様子、各パヴィリオンの様子が写真カードで一目瞭然!もうビックリです。これ、すっごい資料。
コンサートプログラムはサティ・アーン・フォレ・デュポン・ドビュッシー・プーランク等で組みました。そして今回の目玉商品はなんとシャンソンです!!
今回、庭園美術館からのリクエストでシャンソンを歌うことになりました。しかし…実は私、シャンソンを歌ったことがないのです。クラシックの歌手はなかなか歌う機会もないと思いますが、もしシャンソンをレパートリーにしていたら、きっと今後もお客様に楽しんでいただけるのではとは思っていました。これはチャンスだー!と思い、作曲家の加藤邦宏さんのところへ駆け込みました。彼ならきっと私に合うシャンソンを勧めてくださるだろう、そしてメインに相応しいメドレーを編曲してくださるかもしれない!と思ったからでした。そして案の定素晴らしい「シャンソンメドレー駒井版」を作ってくださいました。アコーディオンのイメージが欲しいのでピアニカをちょこっと間奏中に入れてほしいというわがままも聞いてくださり、予想以上に難しいソロを書いてくださいました(笑)。今日から私は“ピアニキスト”。うふふ。
当日、会場は19世紀末を思わせる、素晴らしく美しいマダム達に囲まれての本番となりました。あたかも自分があの時代のサロンに招かれた音楽家のような気分に浸りつつ、楽しい本番を終えました。
いかにもアール・デコです。
さて、次回庭園美術館エクスポジションは「タイポグラフィー展」です。かなり面白そう!文字によるデザインであるタイポグラフィー。またレポートしますね。
このコンサートのために大変なご尽力を下さいましたコーディネーターの吉田抄子さんにこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございましたー!!またお会いできますように!